sognamo insieme

君を夏の日に例えようか

ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」再演〈BLUE〉

終わらない青春を一緒に過ごせた楽しい2年間でした。

推しである矢崎さんの出演が決まってから、PV撮影、初演、TENTH、コンサート、再演と観客役として盛り上がって、毎回とてもとても楽しかった。

初演、コンサートの記事はこちら

 

 

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今回は再演〈BLUE〉をメインに書こうと思います。WHITEも観たのですが、初演と大きな違いをあまり見付けられず…私が観る回数が少なすぎるからなんですけど。初演の時とほぼ同じ感想でした。

BLUEは結局グループとして一番好きなチームに。個人だけで言えばREDとかWHITEに出演している方も大好きなんですが、グループとしての絆が一番目に見える。1人1人が誰かの為に動いているように感じたBLUEがとても好きでした。

長くなるので季節ごとに1人ずつ書いていきます。

 

〈春〉トミー(伊礼彼方)

もうめっちゃ好き!!!!です!!!

初めて観た時から、ずっと心奪われていました。伊礼さんって私の見た作品ではヒールが多い印象なんですが、今回もヒールです(笑)

でも、誇り高きワルでめっちゃくちゃかっこいい。映画で観たトミーと近くて、映画ではトミーが一番かっこいいと思っていた私にとってはめちゃくちゃタイプドストライクでした。

秋の場面、他のグループのトミーは大体ジップの前でしゅんとしているのに、伊礼トミーは飄々としていて。伊礼さん自身も伊礼彼方の部屋で言ってましたが、突っぱねてかっこつけて最後まで折れないトミーが悲しい。もう自分では引っ込みがつかないところまで来てしまっている感じ。春と夏、確かに彼はチームを引っ張っていた、回していた。独り善がりでなく、そのリーダーシップがしっかり見えるのも伊礼トミーの特徴だと思いました。

cry for meでひとつになった時も、最後に入ったトミーがコンダクター的な役割を果たして音楽を作っているんです。「もっと、もっと、そうだもっと!」とフランキー、ボブ、ニックの最大値を引き出していたトミーは紛れもなくリーダーだった。あの音楽は最高でした。詳しくは夏に語ります。

トミーはトミーなりにグループをメンバーを愛していたんだと思います。その方向が捻くれているだけで。自身の経験からきっとファンだったら私はトミーを許せない自信があるんですけど、それでもRAG DOLLの「この賞をくれるのは、一般大衆だからだ」にはぼろぼろ泣いてしまいました。伊礼トミーは観客のこともちゃんと愛してくれている。ほんとどうしようもないクズだと思うんですけど、その不器用な生き方に強烈に惹かれました。

 

 〈夏〉ボブ(矢崎広

この人を追いかけてここまで来たんだなあと、感慨深い想いです。

2年前のボブで急成長を遂げてからの再演。まず、ものすごくものすごく歌が進化していて、今回は初演の藤岡さんが歌っていた最高音パートを任されていました。ものすごい音圧でした。DAWNを初めて再演で聴いた時、あまりにも声量も歌声もパワーアップしていてびっくりして泣きました。本当に矢崎さんには感服です。わたしたちの知らないところでどれほどの努力をしていたんだろう…。

そして1番なにがどう変わったかと言うと、この2年でcry for meがお芝居の肝としてとても大事な場面になっていました。初演の赤、私が泣いたのは矢崎広という役者がクリエの舞台でcry for meを歌い上げるという事実でした。私はお芝居というより中の人ありきで感動していて。それは今回もそうです。でも今回のcry for meはその感動を遥かに上回ってきた。歌はめちゃくちゃに上達しています。今回はそこに皆が納得して乗っかってきてくれる。音が重なって音楽になっていく。一つになって、最高の瞬間になる。うまく言えないんですが、音楽をやってきた人でこの場面が刺さらない人、いないんじゃないでしょうか。

音楽が楽しい瞬間は、1人でピアノの前にいる瞬間じゃなくて。人前で拍手をもらった時でもなくて。小さな部屋で誰かと歌ったり演奏を重ねた時だったりする。

ラストシーンでフランキーが語る最高の瞬間は、cry for meなんだと思います。街灯の下ではないけど、きっとBLUEは最高の瞬間をcry for meに持ってきている気がする。他のチームではそこまで思わなかったので、この場面の衝撃は強く残りました。

矢崎ボブはクリエでは赤よりもクールだったと思います。特にフランキーの前で。ツアーに出て徐々に熱くなっていくのが楽しかった。後半はBLUE全体どんどん熱量が上がって見応えがありまくりました。

赤の時と比べると、青のボブは「フランキーのため」という意志を強く感じます。序盤にボブ・クルーから言われた「誰のために書けばいいか」ボブはフランキーのために書いている。あの握手に込められた意味を考えながら、フランキーを支えている。

彼が「誰かと一緒にいる方が楽しい」と、とても良い表情で言うのはフランキーがいないoh what a nightの後。天才で孤独だったボブが誰かと一緒にいることの楽しさを徐々に感じ始めた時にはニックとトミーがいた。「スポットライトの下がしっくりこなかった」ボブが、それでもスポットライトの下にいくのはみんながいる時なんです。口ではどんなメンバーでもいいと言いながら、彼は途中でグループから抜けてしまう。でも、オリジナルのフォーシーズンズで歌えるならスポットライトの中でも演じられる、その人間らしさが好きです。

だから秋の場面、伊礼トミーに対してボブはもう泣きそうになりながら怒る。許せないし、なんで…?っていうトミーへの失望もあるように見えました。そのタイミングは変わったりしていましたが、どんどん崩れていくグループの中で、フランキーを支えなければという意志で動いていたところは変わらなかったなあと思います。

文化的成長のため、兄貴みたいな存在、そして親友だったニック。きっとボブはニックのことを本当に親友だと思っていたんだと思います。だからstayは本当に辛そうだったし、観ているこっちも辛かった。ボブのことだからビジネスとプライベートは全く切り分けていて、フランキーとの取引もビジネスの一環。そこにニックが傷つくなんて思いもしなかったんだと思う。フランキーを支えなきゃ、と必死になるあまりに大事な親友を失ってしまったボブ。しかし、それをフランキーには見せない。stayでぼろぼろに歌えなくなっても、opus 17でニックの面影をじっと見ていても、フランキーには大丈夫だから!と支えてみせる。

矢崎さんは誰かを支える役がめちゃくちゃ上手いなあとつくづく思いました。自分の悲しみも自責の念も全部フランキーには見せず、ただ前を向かせる。can't take my eyes〜の時も、あんなに世に出すのに苦労したのに、フランキーが見ても軽く合図するだけ。そしてフランキーの背中に「フランキー、君の曲だ」と指を指して静かに呟き、握手した右手を見ながら去って行く

フランキーも覚えてないかもしれない若い頃の夢。ホーンセクション全部入れてもいいかも!という提案をボブは本当に叶えてしまう。なんて人なんだ…。

矢崎さんが作り上げた、ボブの垣間見える人間らしさと支えようとする強さが大好きでした。

 

〈秋〉ニック(spi)

今回1番特筆すべきはニックだったかもしれないです。音域も役どころも彼には合わないのかもしれませんが、私はとっても好きでした。なんかもう別にミュージカルに私はそんなに歌を求めてないのかもしれない。芝居が面白ければそれでいいやーって思い始めたのもspiさんのニックの影響です。というのはspiさんが下手とかではなく(笑)

コンサートで聴いたspiさんのBeggin'が最高だったので、それが聴けない本公演なんて…と思っていたのを見事に覆されたからです。

私はニックは、ずっと前に出ることのない不満を溜め込んだ悲しい人だと思っていました。年上だからなのか、きっと最初の頃からあった不満が膨らんで、爆発した悲しい人、そう思っていました。

spiさんのニックは、楽しそうだった。100%満足しているわけじゃないけど、楽しいし、このままでいいかなーっていう、転職するか迷ってる人くらいの軽さ*1。特に前半のみんなといる時のニックが温かいんですよね。

再演からニックはトミーのことを「相棒」と呼ぶんですが、本当に相棒っぽい。トミーとは相棒でボブとは親友でフランキーとは兄弟って感じ。バックコーラスでトミーの悪ふざけに乗っちゃうし、ボブと車の話する時も絶対お客さんを笑わせようとしてくるし笑

本来は環境が変わるのが嫌なタイプなんだろうな、と。それが、秋に一変する。ずっと引っかかっていたことが積もって、つい出た言葉が「家に帰りたい」なんだと思います。再演はこの直前のstayの場面でニックが決定的に傷つく時、観客から笑いが起きるようになりました。多分あえて笑わせるように仕掛けられていて、笑われていればいるほど、ニックの自尊心がずたずたになるのを観客が目の当たりにする構図になっていました。ニックが石鹸が見えないくらい小さい、そんな些細なことの積み重なりに惨めさを感じて、もう居なくなりたいと思うこと。それは多分ニックの不満の表層部でしかないと思うんですけど、彼が自尊心を保てるギリギリのラインだったのかな、と。これ以上言うと余計に惨めだから。

責めるボブに「彼の気を引いたぞ!やあ、ボブ。…久しぶり」と今にも泣きそうな笑顔のニックにこちらが泣きそうでした。そして笑顔で別れた後、たまに2人に背を向けてからめちゃくちゃ泣いている回があって、そこで大号泣。上手の端から泣いているニック越しに苦悩するボブを観るのがとても好きでした。たしかに親友だったはずの2人が、どこかでボタンを掛け違えた切なさをいつもヒリヒリと感じていました。

BLUEは各メンバーがニックとの一場面一場面をとても大事にしていて、そこがグループとしての絆をより深く見せていたのかもしれません。

 

〈冬〉フランキー(中川晃教)

BLUEのフランキーはやんちゃでちょっと口が悪くて、怒りやすく甘えん坊な印象でした。

白ではもう少し大人でクールにしている気がする。

特に秋の場面は毎回めちゃくちゃキレていて、トミーが蹴った椅子をどこまででも拾いにいって毎回震えるほど怒っていました。いつだったかトミーとニックの言い争いに被せて何か話そうとしていて(間違えたのかあえてなのか分かりませんが)アドリブなのでトミーとニックがまるで無視して2人で言い争い続けた回があって。余計にこの2人の関係が浮き彫りになってとても好きでした。あっきーはなんだかトラブルも強みに変えるようなパワーがあって、底知れないなあと思います。

あと、初演の時にフランシーヌの死の場面とニックの死の場面、あまり泣くことはなかったのですが今回は大体泣いていました。まりゑさんのフランシーヌが階段の上で天使のようで尊かったのと、私がspiニックが大好きだったこともありますが、なんだかあっきーのフランキーの演技もちょっと変わったような気がしています。

やはり今はあっきーのフランキーがあってのジャージー・ボーイズで、これからのことを考えると他のフランキーが出なければとも思うんですが、同時にあっきーの声を存分に浴びれる今のこの時間に居合わせたことを幸せに思います。

 

 

4人個々については以上です。

BLUE全体通して好きだったところも、たくさんあります。

例えば「ジャージー式の契約」の重要性。

ボブが初めて会った時に何気なく差し出した手を誰も取らないニュージャージーの3人。加入して初めて握手をして、ボブはその後のフランキーとの握手で、初めてその重さを知る。私たちもボブの人生を通して握手の重さに触れられるところが好きでした。決めどころに握手は必ず入ってくるので、BLUEの4人の契約を丁寧に演じているところがとても好きでした。

あとは、cry  for meを最高の瞬間として持ってきているところ、秋の場面のヒリヒリするような空気感、そして、who loves youでみんながまたひとつになる温度感。とにかくBLUEはアイコンタクトが多かった。そして台詞以外のところでもなにか話していることが多い。ミュージカルで、台詞も決まっている中で、そういう些細なところで4人の関係性を補完できたなあ、と思います。カーテンコールもいつも大爆笑だった。一発芸*2を矢崎さんが披露したり、伊礼さんとspiさんがお詫びタオル*3でひたすらふざけていたり。あっきーさんもoh what a nightでシャカリキに踊ってついていけてない矢崎さんを困らせたり…笑

大阪であった伊礼彼方の部屋もものすごく内容の濃い1時間半で、とにかく毎回楽しいことばかりでした。

 

千穐楽にはCD発売も決まり、本当ーーーーーっに嬉しかったです。なんかもう客席でひたすら叫んだ気がする…。なんらかの形に残って欲しいと初演から散々リクエストしていてようやく叶いました…。関係各社の皆様に心より御礼申し上げます。特に東宝の方々の苦労は計り知れません。そしてそして寛大な心を見せてくれてありがとうボブ・ゴーディオ様。いつか海宝さん、矢崎さんのボブをご本人が見てくれたらいいなあと思っています。

 

本当に矢崎さんがボブをやってくれて良かった。きっとボブは矢崎さんにとっても私たちファンにとってもずっと思い出に残る役なのではと思っています。この作品に出会えたこと、この作品の観客になれたこと、心から感謝しています。ジャージー・ボーイズという作品は私にとってWho loves you の歌詞そのものでした。

 

 

 

*1:どうでもいいですが、今の私自身ともめちゃくちゃリンクしてます

*2:彼はとにかく一発屋芸人のモノマネをひたすらしていた

*3:9/30公演が台風で中止になり振替公演のチケ代の差額で配布されたタオル