sognamo insieme

君を夏の日に例えようか

右まわりのおとこ

誰にでも普通にできることと、ちょっと他の人とは違うことがあって、そのちょっと違うことをそのまま抜き出した人たちが繰り出す不思議な話でした。

 

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これはストーリーに頼らない芝居なのか、それとも筋書きのあるダンスなのか?
まさしく、身体言語で演劇する新しいジャンルの舞台

建物入口から会場への導線*1以外は大好きなあうるすぽっとの、まさかの舞台上での観劇でした。舞台を3〜4列でぐるっと囲んでそれで200人も収容できるのがすごい。
ラッキーなことに1番前で観れることが多かったのでこの近い距離感を堪能しました。
女中たちのマダムシートに似ていたかもしれない。セットも女中たちに似ていたので、ぜひこのセットでもう一度観たいなあと思っていました。
 
話の内容は不思議の一言。
同じ部屋で4人が互いのことが見えないかのように暮らしています。
何か思いついても成し遂げられない男、規則正しいことしかしない女、右にしかまわれない男、目測を見誤る女。
どこかが抜け落ちている人たちとシナモンロールをめぐる小さな話。
ダンスで演劇といわれていましたが、思い描くようなダンスはあまりなく、近藤さんくらいだったような…。近藤さんの逆回転の動きがすごかったです。
皆動きをモチーフとして繰り返しているところがダンスだったんでしょうか…。あまり踊りに詳しくないので自信はないです。
効果音もBGMも全部役者の皆さんでされていたのが印象的でした。ロシア語の歌…
登場人物たちはみんなユーモラス。ちょっとこれは病院に行った方がいいかも?なレベルもありつつみんなユーモラス。矢崎さんは成し遂げられない男で、ほぼランニングシャツとパンツでした。あとは犬もされてたんですけど、それがうますぎてびっくりしました。タルコフスキー飼いたい…。
 私が好きなのは千葉さんの見誤る女。舞台上のトラブルも見誤りながら回収していたのがお見事でした。
私はズレたり失敗したりしょっちゅうだけど、絶対人のせいにはしない。あははと笑って、全部受け止めるの。そうしたらこんな私だって愛せるようになるんだから
この台詞が大好きなので、自分の中に刻んでおこうと思います。
 
自分語りになりますが、私は小さい頃1日の半分くらいはぼーっとしているような子どもで、考えごとに集中して人の話を聞くことがとても苦手でした。
何を考えてたのか今となってはよく分からないけど、この世の中の不思議とか、何に感動するのかとか、神さまっているのかなとかそういうことを考えていたような気がします。
先生から呼ばれてもあまりにも反応しないものだから、つけられたあだ名はフロル星人*2。宇宙と交信しているとからかわれていました。
大人になるにつれ、今流行りの同調圧力というか、こういう風にしないと変なんだなっていうボーダーラインを読めるようになって、「普通」の中に溶け込むことができるようになって。
でもあのまま、あの時のままを許容していたら私はもっと違った私だったのかもしれない。そんなことを思ったお芝居でした。
 
 
 

*1:2階といいつつ階段であがると4階分…エレベーターは来ません

*2:星新一著「おみやげ」の登場人物