2018年印象に残った舞台振り返り
今さらですが、あけましておめでとうございます。
2019年も半月が過ぎ、そろそろ某チャートの季節にもなりましたので
記事にはしてないものの印象に残った作品を書いていこうと思います。
・ひかりふる路(宝塚雪組)
望海風斗様がトップ就任されて初めて観劇した作品。
ロベスピエールって様々なフランス革命ミュージカルで善人だったり悪人だったりする役ですが、そのロベスピエールの生涯を描いた作品でした。
彼が国のために民のために打った施策がどんどん皆を貧しくさせる。
ロベスピエールは常に信念を持って改革しているわけですが、だいもんは本当にこういった陰を持った、でも真っ直ぐな役が似合うなあと思いました。
憎しみと愛の間で苦悩するヒロイン希帆ちゃんも素晴らしかったです。
ラストの2人が別れる牢屋での場面は美しすぎて泣きながら震えました。
このペアはめちゃくちゃ歌うまペアなんですが、互いに自分の意志がはっきりしていて自立している印象。すごくお似合いな2人です。
会場全てのお客さんを愛で包めるほど包容力のある望海さん。今年観劇作品も素晴らしかったので、これからも少しずつ観ていきたいです。
・熱海殺人事件
このメンバーでは初見でしたが、こんなに笑えて泣けるつかこうへいがあったんだ、という衝撃でつい増やしていました。
味方伝兵衛大健闘なんですが、特筆すべきは石田明さんの熊田留吉。
石田さんのツッコミのテンポ感とつかこうへいの親和性が高く、会場中どっかんどっかん笑いを攫っていました。
あの留吉だからこそ、ラストシーンでぐっと締まる感じがしました。初めて熊田の場面で泣いたなあ…。
熱海は自分の田舎コンプレックスをじわじわと抉ってくる作品で、あまりにもしんどくてあまり観れなかったのですが、自分が結構かなりこの作品が好きだと改めて思いました。当時、味方くんのファンとのキスシーンで荒れに荒れたのが悲しかったので、今年は変更してくれないかなあ。もちろんファンの方はかなりしんどい場面ですし、それはすごくわかりますし。そしてなによりこの作品の評価があの場面だけで下げられるのは、とても解せなかったので。それくらいの熱量と愛に溢れた芝居でした。
・GEM CLUB 2
実は1も行ってるんですが、好きな人がいるGEMってめちゃくちゃ楽しいな!?と思いました。
GEMはまだ原石のエンターティナーたちを魅せるコンセプトなんですが、前回よりは今回の方がまだ原石感あって良かったです(笑)
それでもやっぱり原石というかほぼ輝いてる人たちなので完成度の高いショーで楽しくて仕方なかったです。
東山みっちゃんとか歌うますぎてるし…本田礼生くんダンスすごいし…木戸くんは貫禄(?)すごいし…たわちゃんは大型犬←
応援してる松田岳さんは歌でもお芝居でもダンスでもない完全に原石枠…!笑
私は岳ちゃんのダンスとっても好きなんだけどタップやアクロバットではないからなー…
斬られ役なのにやる気がありすぎてついしゃしゃり出てしまう役で、図らずも殺陣が見れて嬉しかったです。
その後の即興劇や小芝居で会場の爆笑をさらってて、この人の才能に底知れなさを感じました…こわ…。
2幕のdesireで壮さん率いるバブルなタイトスーツ着たメンバーがバブリーダンスをガンガン踊ってるのを見て、男女問わずタイトスカート履いて踊る人大好きって思いました。かっこよすぎた。
歌って踊って笑って、エンタメの楽しいとこ全部詰めの舞台でした。
・歌謡倶楽部艶漢
元々原作の艶漢が好きで、あまりの再現度にいつか行かねばと思っていました。
結果ショーとして、最高。最強。
こんなに楽しくてエロくて美しいエンターテイメントがあるのかと…!
ステージで向かい合う櫻井くんの詩郎とみかしゅんの安里に客が赤いリボンを投げて巻きつけていく構図は衝撃すぎて忘れられません…。
会場がアングラ感あって、雰囲気も大好きでした。
グッズがステージ満喫できるものばかりで構成や演出にも脱帽。お客さんが舞台に参加できる、その方法が工夫が凝られていて楽しいものばかりでした。
田上真里奈ちゃん、千鶴のイメージが強かったんですが、六口かっこよすぎて大好きです。末原さんが汗きらっきらで爽やかでかっこ良すぎました…。
大満足でした。次回あるなら万全の体制で臨みたいです。
・MAPS(少年社中)
これはたくさんの嘘の物語。もしくはあなたの物語。
少年社中の脚本演出を手掛ける毛利亘宏さん、おそらくその人自身の物語。
少年社中20周年作品の中で、最も意味わからなかったんですが、最も好きな作品でした。
3人の地図にまつわる者たちの人生がどんどんクロスオーバーしていき、世界が交わっていく。
多和田秀弥くんの冒険家、岩田有民さんの伊能忠敬と南圭介さんの漫画家の世界がありましたが、主に漫画家の話が中心だったように思います。
圭ちゃん、笑いのセンスが神がかっていて面白い人だなーと思っていたのですが、本作でもその実力を遺憾無く発揮していました。好きだなあ、この人。それだけではなく、どんどんメンタルに支障をきたしていく様が実にリアルで、観ている方も怖くなりました。
今まで自分が培ってきた地位や結果が全て幻覚で、実は病気が生んだ妄想で実際には何も持っていなかったら…。
大した地位なんてない私でさえ、これまでの人生で頑張ってきたことが全て無になる恐ろしさを感じました。これは毛利さん自身の話なのかもしれませんが、結構色んな人が刺さるエピソードがたくさんありました。多分、なにかクリエイティブな活動をしていた人はより共感するところがあると思います。
冒頭で書きましたが、「これは、あなたの物語」。この口上をキャスト全員で読み上げる場面は熱い。
少年社中は、共感を目的として書かれている作品が多いと個人的には思っています。全てが好みということはないかもしれないけど、これは私の物語、そう思える作品がきっと見つけられるんじゃないかなあと。MAPSは私の物語でした。そして、この間観たトゥーランドットも私の物語だと思います。
あなたの物語を探しに、ぜひ劇場に足を運んでみてください。少年社中のまわし者より。
・半神
萩尾望都のわずか16ページの傑作を野田秀樹によって舞台化された作品。中屋敷法仁の手で再演出されました。野田版は観ていませんが、萩尾先生の原作は読んでいます。
今年のストプレのNO.1でした。夏は熱病に侵されたごとくこの作品の話をしていた気がする。
シャムの双子として産まれたシュラとマリア。10歳までに切り離さないと2人とも死んでしまう。醜く賢いシュラと愛らしく赤子のようなマリア。2人の未来は…
八百屋舞台でした。役者のフィジカルが試されるかのような、しんどそうな構造。
メタ的な場面がちょこちょこあって、集中を解かせてくれるのがありがたかったです。なにせ難しくって…。ベンゼン環とか第六世界とか単語がいちいち難しすぎたので、考えるな感じろで楽しみました。
とにかくシュラの桜井玲香ちゃんとマリアの藤間爽子ちゃんが素晴らしかったです。
前半はひたすらシュラの悲しみに寄り添って、マリアの無垢な美しさに癒されていました…。
シュラが愛されたい!と全身で叫び、マリアを全身で憎み、そして自分の魂より愛している様があまりにも悲しく、ひたすら泣いていました。桜井玲香ちゃん、すごい女優さんだなあ…熱量がすごかった。また観たいです。
マリアは前半と後半の演じ分けが素晴らしい。そして2人が独立した1人ではなくて、ちゃんとあわせて1人なるように見えたのが素晴らしかった。
先生の太田基裕さんは、今まで飄々とした役を観ることが多く、こんなに熱量高い演技をされるのかと驚きでした。もっくんの台詞量膨大すぎる…。
終幕に残ったのはシュラなのかマリアなのか…。原作と違いどちらなのか分からないようになっていましたが、最後まで2人で生きることを諦めなかったシュラとマリア。この双子を愛おしく観続けた2時間でした。
・タイタニック
そもそもトム版初演の自分のブログが長すぎて*1
この熱量で書くのは無理だと断念したんですが、それでも再演すごくすごく良かったです。
イスメイさんが今回石川禅さんになっていて*2、ラストのオープニングリプライズの演技に涙が止まりませんでした。壮麻さんの時から思っていたのですが、イスメイはタイタニックの出航した喜びを共有したかった純粋で可愛いおじさん…。会社にもよくいる憎めない上司でした。ラストのタイタニックとともに沈んだはずの皆がキラキラした様子で自分の前に現れる。驚きと後悔と悲しみでボロボロになっているイスメイさんがつらすぎました。
初演も泣いていたのですが、今回再演を一緒に観た妹から「よくこんなに重い話を何度も何度も観たよね」と言われて、確かになあと。
再演の方がずっしりくるように作られていた気がします。
矢崎さんが演じていたハートリーは木内健人くんになっていて、元々ドッグファイトの再演でとても良かったので期待していましたが、ダンスうま!!!素敵なハートリーでした。
大好きな藤岡バレットと上口ブライトのproposalも最高でした。本当に細やかな演技と美しいハーモニーで幸せな場面なのに涙が出ます。
どんなに言葉を尽くしても前のブログに勝てないので諦めますが(笑)この時期はタイタニックについて調べるのがブームになりました。シュトラウス夫妻の実話が最も愛おしいです。ぜひご一読ください。
http://http://harpersbazaar.jp/lifestyle/culture/titanic-cuddling-couple-true-story-171222-hns
・スリル・ミー (松下私×柿澤彼)
年末のギリギリのところでどかんと重いドンピシャ私好みのミュージカルが見れました。
頭脳明晰な私と彼。彼は自分をニーチェのいうところの超人だと言い始め、スリルを味わうために私とともに強盗、放火、そしてとうとう殺人にも手を染める…。
エグい話なのに、とにかくひたすらピュアに彼を求める私と、私をいたずらっ子のようにからかいながら陰をもつ彼の欲求と愛の物語でした。
ピアノと演者2人で緊張感のある芝居。展開を知らずに行ったのでハラハラしながら観ていました。
私にとって彼が必要なように、彼にとってもまた、私が必要に見えました。私の自分への愛を試すように酷いことを言い、罪をなすりつける。私はそれを全て分かっていて、その上で彼を愛しているように見えました。
ラスト、生きる気力のない私のこれからの人生に幸あれと願わずにはいられませんでした。
受け取る側の余白が多く、解釈や想像(妄想?)も無限大の作品で今でも悶々と考えています。
松下洸平くんは前観た舞台*3でもその演技力に慄きましたが、今回もリアルな地続きの演技がすごく好みです。柿澤さんは顔がいいな〜〜。攻め方が上手いな〜〜。
成河私と福士彼も観たかったのですが、年始の仕事始めから想像を超える激務に断念しました…。観たかった…。
推しに出て欲しい舞台第1位です。絶対絶対観たい。
・歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭
最近のる・ひまわりの公演に行けてなかったのですが、平成最後の年越しはやっぱりるが良いよねってことになり、久しぶりに行ってきました。
感想…
なんで毎年行かなかったの〜〜!わたしのばかー!
やっぱり大好きの詰め合わせでした。
笑ってふざけて泣いて、世界が少しでも平和になることを祈る、そんな舞台でした。
はじめましての主演の佐奈宏紀くん、TLで大人気なんですが、かわいくて、エロくて、キャラ強くてお金持ちでした。可愛いお顔立ちなのに声が低いところも魅力。腹から出てる感じ。
晴信、きらっきらで甘っちょろくて、みんなの希望なところが義経くんを思い出させました…。てか今回るフェアを思い出させる箇所がちょこちょこあった。
主演2人目、歌うま面白役者の内藤大希さんですが、本当に凄かった。今年は彼のマリウスが観たいです。元々歌が上手で、頭の回転が速いから、めちゃくちゃ面白い人なのも知ってたんですが、こんなに劣等感のある役が合うなんて…。勘助にひたすら泣かされました。絶望しかなかった彼の人生に、晴信が光を連れてきた。それは、自分の劣等感との戦いだったのかもしれないけど、自分らしく輝ける日々でもあったのではないかと思います。諏訪姫へのピュアな恋もとても良かった。彼女(かっちだけど)の絵を選ぶ場面は無理泣く。明治座を歌声で包み込んでしまう歌唱力は心地よかったです。すごい。
キツツキションのカンスケさんでは、ラッパをピポっと鳴らす仕草が可愛すぎました。笑わない設定を完全無視して直子にもASIMOネタにも床を転がりながら爆笑してて愛おしい…。
メンバーも大分分からなかったのですが、兼ちゃんたっきー龍くんの場面はずるい。
辻ちゃんのヒールはさすがの貫禄でしたが、もっと最後まで観たかったなあ…。
若い子たちもやる気があったりなかったりから回ってたり殺陣が妙にうまかったりと個性が爆発してて楽しかったです。
また来年からも明治座で年を越したいと思います。
以上です!
こうして振り返ると素敵な作品に恵まれた1年だったと思います。
2019年も観劇始めから素敵な作品に出会えていて、今年もどんなものに巡り会えるのか楽しみです。