滝口幸広さんのこと
君が思い出になる前に
推しでもない、言ってしまえばよく舞台で見かける俳優の1人でしかないあなたのことを、ファンの方と同じようにブログに書いて残してしまうのは申し訳ない気持ちもあるけれど、私は私なりにあなたのことが大好きだったので、思い出になる前に書きたいと思って書いています。これは自己満足です。大好きだけど、観ない時期も長かったから、このまま自然に亡くなったことを受け入れていくのかなって。でも、その前にどうしても書きたかった。
すぐに別の記事をあげるので許してください。
たっきーのことを知ったのは2011年の戦国鍋。それからる・ひまわり関連では何度となく観ていました。たまにやしろさんとか他の舞台でも観ていたけど、私にとっては「るひまの滝口」だったよ。
いつも一発芸が意味わからないし、人の財布や家の鍵や歯ブラシ持ってくるし、すぐ人の電話番号言うし。
推しの家の鍵持ってきた時のあの推しの表情、めっちゃくちゃこわかったんだけどもう二度と見れないね。だってそんなことする人いないもん。
そんな破天荒だった滝口だけど、してやったりの笑顔の目の奥に不安の影が見えたり、たまにぽろっと弱音が出ちゃうところがなんとも愛おしかった。全部お客さんに楽しんで欲しくてやってたもんね。知ってたよ。
あんたすげーよとか、おしおきペガサスとか、ブレイクしてやる*1とか、名言も多すぎて思い出す度に笑い泣きしちゃうじゃん。おしおきペガサスってなんだったの?私たちも分からないから今年のるひまで新規の方に聞かれても全然答えられないんだよ?
人の死への心積りを私は多分心のどこかでしていて。勝手に雰囲気で人の生命力を測って死への耐性をつけているんだけど、滝口は見るからに生命力が強すぎてその心積りを一切してなかった。
当たり前のようにシルバーグレーのおじさんになって、当たり前のようにおばさんになった私が年に1回くらい観に行っては、「相変わらず馬鹿なことしてるなあ」って笑うんだと思ってた。当たり前とか永遠とか簡単じゃないって知っていたはずなのにね。
滝口がたまに演じるクールなヒール役が好きで、歳を重ねてさらに迫力が増したらいいなと思っていた。
今年のるひまでデビューになる岳ちゃんのポテンシャルも滝口なら引き出してくれるだろうし、一緒に対談もしているし大丈夫だよね、と失礼ながら頼みの綱にしていた。
だって、なんだかんだ後輩の面倒見めちゃくちゃいいんだもん。ツッコミも愛があって、若手たちが爪跡残そうと全力でぶつけるどんな変化球でも大暴投でも、そんなに得意じゃないと言いながら、苦笑いでなんとなく面白くしてくれて。今年そんな存在がいない中で、がっくん頑張ったよ。褒めてあげてください笑
る変はどこを見てもあなたの面影があった。カフェのご飯とっても美味しかったよー!いつも斬新なお味だけど、今回も柿のお吸い物なんか食べたことなかった。すっごく美味しかった。長政だって、真志が素晴らしく自分のものにしてた。とっても真志らしくてかっこよかった。だからより一層滝口だったらどうなったんだろうなーって思いが止まらなかったよ。ぬら様以来にドンピシャ好きになっちゃうかもしれなかったのに。お市の場面、花道のスッポンに照明だけが当たっていた空間、毎回滝口が立っていると思って観ていた。照明が散ると同時に滝口の姿も見えなくなって、いつもそこで泣きそうになった。
舞台の上のみんなにも、客席にも、あなたはずっと心の片隅にいて、たまに三上や誰かが名言を言っては会場が涙と笑いで包まれていた。
普段、推しではない共演者の方に馴れ馴れしくするのはファンの方に申し訳ないなって思ってるんだけど、滝口にはこんなに馴れ馴れしくて申し訳ないな。なんかもうレベルが違ったんだなって思います。近所のお兄ちゃんみたいな感じ。当たり前に大好きで、それを意識することすらしてなかった。
これから二度と見られないなんて信じられないな。だってお通夜も葬儀も出てないんだもん。無理だよね。る変でも結局全然実感わかなかったから、まだ舞台にいてくれたんだよね。
ご冥福なんてまだ祈れないから、今年の年末もまた一緒に年を越そう。私たちが涙の川を作るから、その余ったエネルギーで現世にいて。
もしも願いが叶うなら戻ってきて。あなたの笑顔がまた観たい。できるだけ長くこの気持ちでいたいから、このエントリを書きました。神様に怒られそうだけど、まだ面白くて愛おしい滝口を神様に渡すには早すぎるじゃない。休むにも早すぎるじゃない。またね。