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君を夏の日に例えようか

藤岡正明さんのボイトレは一見の価値があった話

こんばんは。歌が下手なままボイトレを永遠に受け続けているアラサーが、歌手の藤岡正明さんが舞台芸術を未来に繋ぐ基金の企画の1つとしてupされた「未来に繋ぐレッスン」という動画を見た学びを書くエントリーです。

元々藤岡さんの歌が大好きで、藤岡さんの舞台やライブ、イベントにはここ5年くらいちょこちょこ顔を出しています。藤岡さんの歌をミュージカルで最初に聴いた時、空間全てを支配するような声の圧に背筋がビリビリしたことを覚えています。世の中にはやっばい歌手がいるんだなあと思った。

そんな藤岡さんがレッスンをやってくださるということで昨年9月に直接レッスンを受けに行きました。

といっても、集団レッスンで初心者の方でもOKってパターンを選択!かなり気は楽でした。

私はずっとクラシック発声しかやってきてなかったし、しかもそんなに上手くもないし、ポップスは3年くらい前からようやく始めたけどめちゃくちゃ下手だし、etc…というレッスン歴だけ異常に長いけど、上達が遅い卑屈でネガティブなタイプ。

ただ本当にレッスンだけは色んな先生を転々としてた*1のでこれだけは思ってた。

藤岡さん、あんまり教えるの上手くないんじゃないだろうか…笑

歌のうまさ≠教えるうまさ。有名な歌手についたところで、言われるのは「息を深く吸って」「息をたくさん流して」「遠くに声を飛ばして」「お腹で支えて」「喉開けて」「喉上げないで」ばかりなことも結構多い。今すぐ実践できることあります?息吸ってくらいじゃない???*2

これでポイントを掴める人も多いのかもしれないけど、私にはピンとこない表現が多くて、いくら教えてもらってもよくワカラナイ…。これ、ボイトレ経験者あるあるじゃないですか?

例えばをお話ししましょう。高校生の時、合唱部に所属していた時期があり、重心を保つために片足立ちで歌わされてたんですね。私片足立ちがめちゃくちゃ苦手で、ふらっふらしててまともに声が出せなかった。そんな時、先生や先輩から決まって言われたのは、「頭から一本の糸に吊られているような感覚でいれば立てる」(これもめちゃくちゃよく使われる表現)というもの。正しいのかもしれないけど、私は結局習得できなかった。片足立ちが出来る様になったのは大学の時。ジャズダンス入門で「片足立ちは足を意識しないで!丹田*3を引き上げて」と言われた時にピンときて、一瞬でできるようになりました。これかーって感動した。やっと何が目的で片足立ちして歌わされたのか理解できた。

まあ私が勘が悪いのと自分の身体のことに無頓着すぎるのと運動神経が悪いのと色々原因はあるんですが、その時いろいろなアプローチに触れることは大事だなって思ったんですね。歌を教えるにしても色々あると思うんです。主流のイメージトレーニング(?)から、音声学を用いた方法から、とりあえず実践から、フィジカルな角度のトレーニングまで。私はフィジカルな部分を教えてもらいつつの組み合わせが1番分かりやすいタイプだと思います。それは人それぞれだと思いますが、長年レッスンを受けた結果思うのは、色んな角度のアプローチを聞いて、やってみて、自分がその時の状態に合うエッセンスを拾っていくことが大事なんじゃないかということ。基礎はすぐに身につかないので1人の先生にずっと教えてもらうのも大事。でも思うようないかないなら、他の先生に移ったりアドバイスをもらうことも大事だと思います。

ただ、ボイトレって…イメトレがあまりにも主流でバリエーション持って教えてくれる先生ってなかなかいないんですよね笑

先程上述したフレーズは使わない人の方が少ないと思ってます。先生は私ではないので、感想は言えるけど改善方法は先生が分かった感覚や言い回しでしか伝えられない。

前置きがあまりにも長くなりましたが…

つまり、勘が良くて持ち声が良いタイプの天才ボーカリストって、歌えない人の感覚分からないんじゃない!?テンプレな教え方しか知らないんじゃない!?*4ASAYAN最年少ボーカリストだったじゃーん!という先入観でレッスンに挑んだわけです。大好きな歌手から歌教えてもらえるので、どんなに実にならなくても、もう教えてもらえるだけで嬉しいからルンルンで向かってた。超失礼ですね。

 

しかしながら、藤岡先生のレッスンはそんな私の印象を覆すような面白いアプローチに満ちたレッスンだったのです。

息のロングブレス大会から始まり、マッチの火を消せるか対決(?)をおこなったり、音階をひたすら徹底的にやったり。ハモリ方、ビブラートのかけ方など自身のメソッドが確立していた。

天才なんだけど、でも絶対努力の人だ。感覚で繊細に歌える人だと思ってたけど、めちゃくちゃ計算して歌ってることも分かりました。

もちろん基礎として受けたことのあるアプローチもあったけど、面白い教え方が多くて本当に楽しかったし、藤岡さんの音楽への誠実な向き合い方に襟を正す気持ちで聞いていました。

後述の動画に出てこない部分で特に面白かったのは、高音に移行する時、前に出すって感覚。たしかに、ファルセット域の高音を上に上げるのではなく、前に出すイメージを持ったらチカラをかけずに強くなる気がした。喉が上がりにくいのかも。でもこれは藤岡さんに見てもらいながらじゃないと危険な気がします笑

 

今回のレッスン動画は昨年9月のレッスンでのお話がぎっしり凝縮された内容です。無料でなんてありがたすぎる。ぜひどうぞ。

以下で飛べるようにしました。

 

youtu.be

 

第1回は藤岡さんの音楽へのポリシーとそれに近づける方法、「幼稚園児歌唱法」について。

これも面白いなーと思いました。ビブラートは、クラシック出身者はもれなくかかるのですが、取るようにコントロールするの大変なんですよね。幼稚園児のように歌うと自然とノンビブになるし、音程のブレもわかるし、チェンジが苦手なのもがっつりバレるし(笑)良い方法だなーと思いました。カエルの歌、藤岡先生と一緒に歌ったら自分が下手すぎて笑いながら泣きました。飼い猫が逃げたレベル。カエルの歌を幼稚園児のように歌っても良い声の藤岡さんはやはり天才。

 

youtu.be

 

第2回はフェイクができるようになる!?音階トレーニングについてでした。

クラシック発声だと細かく動けない、めちゃくちゃわかる。いや、私クラシックでアジリダ(細かく動くこと)得意なタイプですけど、それはフェイクではない。つーかベルカントでフェイクはできない。声抜けないので。

3回ともそうなんですが、藤岡さん音程をめちゃくちゃ大事にする。当たり前だけど当たり前に出来てないミュージカル業界に警鐘を鳴らしてくださりありがとうございます!

\正しい音程はプロとして最低限のマナー/

声に出して読みたい日本語ですね。

後半に鬼のスケールが入ってます。

伴奏:藤岡正明で発声練習ってやばくない??ありがたや。自主練やってみよー!

 

 

youtu.be

 

第3回は実際に公開レッスンを受けてみようの回!

すごいー!受講した皆さんのトライに拍手をおくりたい!めちゃくちゃ良い声の方ばかりでしたねー。ポテンシャルの塊。

冒頭のブレスコントロールが歌う前のアップにとっても良さそうなのでこれからやろうと思いました。9月以降も地味にブレス記録伸びてきてるので、初めから1分超えたいなー。あと、本当に細かな部分ですが、脇の下意識で息を吸うの、めちゃくちゃ分かりやすいので取り入れた。こういう一つ一つの積み重ねなんだなあと思ってます。

個人レッスンでは、ライトチェストのお悩みとか言葉の大切さとか音程の取り方とかビブラートのかけ方とか、個人の声に合わせたアドバイスがなされてます。この1回で全て吸収できなくても、これからどんどん上手になるんだろうなー。皆さん素敵でした。

 

以上、藤岡さんのレッスン動画とそのご紹介(所感?)でした。

本当に面白く、あんまり聞かないアプローチが多くてモチベが上がった!またやってほしいな!コロナが落ち着いたら実際にスタジオでまた受けたいです。それまでに、少しでも上達しますように…。

皆さんもこの動画で観客の歌唱力底上げしていきましょ!笑

最後に。私は教えるプロではないので、藤岡さんの教え方や指導方法について、および他の先生方の教え方についてどうこう指摘できる立場ではありません。あくまで1受講生の個人的な所感ですので悪しからず(はあと)

みらい基金さんにもこんなにお世話になったのでささやかながら支援できればと思ってます。給付金はよ!本当は業界全体が一致団結して1つのプロジェクトをやって欲しかったですけどね…見えない派閥を感じてしまってモニョモニョしている…現実はキビシイな

 

*1:クラシック6人、ポップス5人くらいかなあ…

*2:遠くに声飛ばないからレッスンに来てるわけだし、喉は上げてるんじゃなくて勝手に上がってるので、下げる方法が知りたい…というのは普通の感覚じゃないのかな?

*3:下っ腹と思ってください

*4:だって最初から歌えるから