2020年、帝国劇場最後の日と復活した日について
帝国劇場は2020年2月26日の公演を最後に、7月23日の公演再開まですべての公演を中止ならびに配信のみとしてました。
その最後の公演と再開した最初の公演にたまたま*1居合わせたオタクの実録と自分語り。
2020年2月26日 ENDLESS SHOCK
2020年、上半期で帝国劇場の扉が空いた最後の日。
SHOCKの大先輩のお友達と2人でなんとかゲットした公演でした。ゆっくりお昼食べてから行きたくて、15時の1回公演を選んだんだと思う。
新しいブロマが発売される日で、2階の物販はごった返していた*2けど、基本的に会場内は静かで、ある種の緊張感が漂っていた。多分なんとなく感じていたんだと思う。明日は休演日で、大規模な公演が次々と中止していたタイミング。もしかすると今日の公演からしばらく観れないかもしれない。
そんな話をお友達ともしていました。トイレに並ぶと長蛇の手洗いの列。トイレ自体は空いているのに、手を洗うための列がその何倍も混雑していました。私も友人も周りの人も石鹸でごっしごし洗った。改修後に言うのもあれだけど、帝劇はトイレの導線どうにかしてくださいね。会場内は開場中も開演中も終演後もしーんとしていて、誰一人咳をする人がいなくて、私語もほとんどなくて。
復活した帝劇も後述しますが、閉まる前の日から帝劇の観客はすでにめちゃくちゃ統制が取れていたのではないかと私は思う。その時の演劇界では「舞台ではクラスターは発生しない」という論調だったので、私も客としてそれを破るわけにはいかないって気持ちだった。
久しぶりに観たEndress SHOCKは本当に素晴らしくて、やっぱり大好きな演目だった。そして久しぶりに見た上田くんはめちゃくちゃ踊れるようになってて腰抜かした。見ない間にダンス歌お芝居全てスキルアップしていて、感動したし、ここ数年バラエティのたっちゃんしか見なかったことを後悔した。もともと良かった上田くんのお芝居が、磨きがかかっててとても好きでした。新たなライバル像を作り上げたんじゃないかなって思ってます。
終演後、光一くんからの挨拶がありました。まずはコロナに罹患された方へのお見舞いの言葉を述べていて、丁寧な方だと思った。特に世界に向けて配信があるわけでもコロナにかかった人が会場にいるわけでもないのに。SHOCKについては、この時はまだやる気のあるニュアンスだったと記憶しています。休演日挟んでまたやります、といった言葉を述べていた気が。ただ、その後SHOCKを客席で観れることはなく、この日を最後に帝国劇場は147日間の閉館となったのでした。
2020年7月23日 ジャージー・ボーイズ イン コンサート
閉館になっているうちにエリザベートもニュージーズもサイゴンも中止になって、私が通う予定だったジャージーボーイズまで中止が決定。泣きながら払戻ししたら、数日後にコンサートの発表があったので狂喜乱舞しました。とりあえず取れるだけ取った。係員の方にコロナに罹患された方がいたので、最初の3公演を配信し、7/23から改めて再開となりました。この辺、目まぐるしく毎日状況が変わるのでしんどさMAX*3だった…。ただ観に行くだけの私がこんなにキツイのだから、出演者の皆さんの心労といったら想像を絶するものなのだと思う。
7月23日、観客が入った久しぶりの帝国劇場。サーモグラフィーが投入されて、客席は半分に減って、ソーシャルディスタンスを保った観劇になった。トイレは5ヶ月前と変わらず手を洗う人たちで長蛇の列を作っていた。
最初の3回の無観客配信でも十分すぎるくらい楽しかったので、始まる前は正直「舞台を観に行くなんて反社」な風潮がしんどすぎて*4、「こんな後ろめたい気持ちを抱えて劇場で観る意味ってなんだろう」と考えながら劇場に向かっていました。
この初日はもともとチケットを持っていた公演だったので、初日でもなんでもないマチネのつもりだったからB席の隅っこだったのもあり、配信の方が絶対オペラグラスよりも高画質で観れる状況だった。家にある50インチのTVにつなげば臨場感だってなかなかのものなんですよ。音も良いし。WOWOWの配信のクオリティも物凄く高くて、B席と同じ値段でも全く違和感のない金額設定だと思いました。
なんで私はこんな気持ちになってまで劇場に行くんだろう?劇場でやりたいことなんて推し定点くらいなのでは?VRが本格導入されたら、私はもうお茶の間で観劇することになるのかなあ…と始まる前は本気で思っていた。
一曲目のCes soirées-làが流れて、緞帳が上がった先に7人の歌声が見える。
その瞬間から涙が止まらなくて、2階席の隅っこで2時間泣き続けていた。
忘れていた身体中に音楽を感じて、劇場で共有できる感覚。受け止めきれないパワーを舞台から浴びる幸せな、大好きな感覚。
観劇は体験なんだと思った。出演者と周りにいるお客さんと一緒に音楽を楽しむ、お芝居を楽しむ体験。今目の前で起きていることに、自分が同じ場所で目撃していることに、大きな価値のある体験。
わたしはこの感覚が大好きで、劇場に通っていたんだった。
ただいまであり、おかえりであり、またね。
次の記事で復活したジャージーボーイズコンサートについて書きます。
本当に本当に行って良かった。幸せな時間について。