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君を夏の日に例えようか

MANKAI STAGE A3! winter2021 冬組単独公演

2020年版の再演。前回より良くなっていなければ再演する意味がない、そんな意思を団員から強く感じた公演でした。

 

前回も1公演だけ取れて、あとは配信で観てる。以下の記事に簡単に書いてます。

 

 

k1mg.hatenablog.com

 

 

2.5次元舞台というのは、今や大きな劇団のようになっているように思う。

5年ほど前までは2.5次元舞台に出演することは大きな舞台に出るまでの踏み台、繋ぎのような印象の俳優が多かった*1が、近年では2.5次元舞台に立っていることにある種の矜持を持っている役者が第一線に立っている印象を受ける。

冬組のメンバーはその矜持を持っているようにみえる筆頭の面々。すでに数多くの2.5次元作品の代表作を持っていて、劇団でいうところのトップを走っているような役者たち。そんな彼らに、『ただ公演を成功させることだけではなく、一歩歩み寄ってチームになる物語』を描かせているのは、本来の彼らとリンクしてとても面白いなと思った。

すでに何度か共演しているメンバーで、他の組のようにぶつかり稽古をしなくてもある程度形になる。そこを一歩踏み込む難しさが彼らの現実と重なるような感じがしました。

 

冬組第二回公演『主人はミステリーにご執心』

有栖川誉主演、御影密準主演の第二回公演。誉さんのトンチキソングとポエムがパワーアップしていて楽しかったなー。私は誉さんと同じような経験がある…というか、傷ついている人を上手く慰められないタイプの人間なので、誉さんが自分が「人の気持ちが分からない」ということに後ろめたさを抱いているところがとても好きです。芸術家肌で常に変なテンションだけど優しくて繊細な人なんだと思う。あまり舞台では出てこないですが物事の真理を知っているところが1番好きです。そんな誉さんと記憶喪失で情緒の発育がいちねんせいの密くん。アラサーなのに拗らせ思春期の冬組を象徴したような可愛いペアでした。

涼星のトンチキなダンスや振り切ったアドリブができる強いメンタル、るひまでしか見れないと思っていたのでエーステは貴重。

今回雄三さんが入ったことによって稽古場が締まったなーという印象でした。お芝居の稽古場なんだけど、結局立場の違う人が1人いるって、創作の現場では大きなことなんだと思う。特にエーステでは監督は直接その場で何かを言うことはないので、新しい外部の人がいると説得力や言われた側の反応にまで影響が出るのが面白いと思いました。

劇中劇の大正ロマンミステリーはめちゃくちゃ好きな系統の話。綴はこの話の続編あと2〜3作書くべし。志岐と鷺島の出会いとか、中津刑事からの依頼とか相馬京一の復讐とか。観たい。

原作で読んだ時から好きな話だったので、大正の雰囲気をバッチリ再現されててサイコーだった。とにかくこの2人は身長差も関係もカワイイ。ダンスや集合の場面でもこの2人はいつも一緒にいてくれるので、需要を分かってくれててありがとう……という気持ちになります。

 

冬組第三回公演『真夜中の住人』

雪白東主演、高遠丞準主演。

特に推しではない、推しもいない冬組単独公演に数回通うことにしたのは本作の影響が大きい。こっちは再演でかなりBGMや演出に変化が加えられてたと思います。

ゲームでも東さんの過去は重たくて、未だに100%彼の気持ちの整理がついているわけではないんだけど、初めて一歩前に進んだ場面がこの冬組との出会いなんだろうな。

久しぶりに冒頭に彼の独白が始まったところから観ると、あまりにも悲しくて泣き続けてました。繊細で自分を隠すのが上手な東さんと正直で不器用な丞の凸凹コンビが、旗揚げの衝突を彼らなりの時間と交流で乗り越えて分かり合える過程がとてもリアル。

現実と混ぜてしまうけど、俳優としてキャリアを積んでプライベートな部分に関わらなくても形にできる力が備わっている彼らに「公演はうまくいくかもしれない。でもアンタ自身はどうなんだ」って言わせるの凄い。冬組自体がもう一歩前に進むための本作品の大きなテーマになっていて、冬組のキャスト自体が彼らなりの距離感を作っている感じがとても好きでした。冬組の俳優たち、みんな何度も色んな作品で観ているけど特段推しなわけではないのにここにきて大好きになってきたのでエーステって不思議な作品だと思います。

劇中劇、大きな月のセットの下でおこなわれる悲しい男たちの話。原作で読んだ時には「なるほど綴はブロマンスの話も書くんだなあ」くらいに思ってたのに、舞台では玲央と浩太の激重感情に頭を抱えてました。この話を観たくて通ってしまったところある。お互いがお互いの事を思っているのに一緒にいることが叶わないなんて、なんて切ない話なんだろう。これを東さんがやっていることも相俟って毎回泣いていました。真夜中の住人は、再演で明らかに全員の解像度が上がっていたし、回を重ねるごとにどんどん良くなっていったので、フル尺で観たいですね〜〜!!!こんなに好きになるなんて、私が1番びっくりしてる(?)

ちゃんとチームになれた、運命共同体という形になった冬組。彼らの現実ともリンクするバランスがとても好きになった公演でした。願わくばガイさんがいる冬組はこのメンバーで観たいし、第5回公演の丞がMANKAIカンパニーに残る理由の先にはこのメンバーがいてほしい。忙しいみんなだけど、そんな夢を描きたくなるほどです。

劇場について

みんなが嫌いな劇場ランキング上位にランクインしつつある立川ステージガーデン。個人的には、まあ好きにはならないけど最悪でもないって感じの劇場でした。前方シアターサンモール、後方TDCって感じ。今回中通路以降で心ばかりの段差がつけられててそれが2列ずつだったので、後方の偶数列は何も見えない事態が発生してました。私は運良く通路側や前に人が来なかったりしたのでそこまで見えないことはなかった*2

サイドシートで取った2階バルコニー前方はめちゃ当たり。映像は見えないけど、各キャストがすごい近くてファンサ貰えるのでハッピーでしたね。カズナリありがとー!

フィルコレでも何度も行ったので多少の愛着が湧いてしまったところある。マチソワ間のIKEA楽しい。あとはジョナサンにひたすらお世話になりました。ありがとうジョナサン。

8月もまたお世話になるので、変な席引かないことを願うばかりです…。

取れないくらいなら立川行く方がましなので、激戦の公演であればまあアリ。

 

エーステ楽しかったなあ。楽しいなあ。愛に溢れてるこのコンテンツとこれからもたくさん思い出を作りたいです。

*1:俳優が思っているかは知らんが、ファンにこういう考えが多い印象を受ける。個人的にはこの考え方は全く好きではないし、2.5次元舞台を他の演劇と同等に観劇している私からすると、何故か下に見られている感じがして非常に腹ただしい。

*2:本当に運が良い人はそもそも後方偶数列をなんども引かない