sognamo insieme

君を夏の日に例えようか

MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ~AUTUMN 2022~

あけましておめでとうございます。

秋単終わってまだ1ヶ月か〜。遠い昔ですね。めちゃくちゃ楽しかったー!ってことを2000字くらいで書こうと思います*1

秋組単独公演

元々原作の第7幕はこれ以上ないくらい泣いてて、個人的に涙腺に刺さる良いストーリーでした。夢を追いかけるために家族と衝突するなんて誰しも多かれ少なかれある経験を莇を通して追体験できる。第5幕の千景のような大きな出来事はないけれど、1人の夢を追いかける若者を丁寧に描いていて、そこに劇団を絡めることで唯一無二のキラキラとした物語になっていると思う。ただ、原作では秋組のアクションが劇中劇や後半にはあるものの、基本的にはメンバーそれぞれの家出の物語や莇の成長が中心となり、どちらかというとキャラクターの内面に向き合う話なので舞台として映えるのか、莇の心情だけで泣ける作品に仕上がるのかが1番懸念していた部分だった。

 

そんな不安吹き飛ぶくらいめちゃくちゃ!めちゃくちゃ面白かった!!!

 

松崎史也大先生の人の心情を分かりやすく描く技術とエーステの持つ華やかさ(若干トンチキ)が組み合わさって最高傑作が出来たように思う。

 

莇について

まず莇!夏単で数分間出ただけでも最高に莇でめちゃくちゃ期待値高かったんだけど、吉高志音くんはすごい俳優さんですね!?歌もお芝居もアクションもこなして、中心にいて華がある。秋組は高身長モデル体型顔面っょっょ軍団なんだけど、全然埋もれない。原作の小西くんの声って声優さんじゃない、結構難しい声質だと思うんだけど完全に寄せてるのも凄いと思った。元々の声が似てるからかもしらん。

莇の中学生らしい反抗期な部分も不器用な部分も真っ直ぐな気持ちも全部リアルに感じられてとても良かった。可愛すぎた。場数踏んでるのか初日から千秋楽まで歌も芝居も安定してたな〜。恐るべき23歳。KKはとんでもない後輩を隠してたんだなと思った。

 

構成の妙

他の秋組メンバーも進化してた。彼らはちょっと見ないうちに新しい武器を持ってくるからすごい。役者として追いかけてない子も多いから秋組は結構毎回驚いてる気がします。でもやっぱり、私は秋組の魅力は「歌」だと思うのね。持ち声が良い人たちが集まってるのでハーモニーが凄く綺麗。玲さんの声はいつか劇場を吹っ飛ばす。

今回の秋単では各自がバラバラに莇に家出のエピソードを話すんだけど、同じメロディをキーにして繋いでいく形式がとても好きだった。もちろんそれぞれの個性が強いので(笑)楽器や歌の配分は違うんだけど、秋組が3時間半1つの歌を紡いで大きな曲を演奏しているような構成だったのが良すぎて震えた。冒頭にリーダーである万里のソロから始まって、最後に莇と一緒に初めて全員でそのメロディを歌う。最後に寮の前で「ただいま」と言う莇は15歳の家出を終えて、劇団という新しい家路に辿り着く。もはや大作ミュージカルですよこれは。ミュージカルでもあまり見ない構成かもしれない。革新的で素晴らしいと思う。秋組は世代もバラバラであんまり馴れ合わないし、それこそ喧嘩ばかりのチームなんだけど、1つの歌を歌うことで仲間としての繋がりが感じられてすごく良かった。

とにかく構成が素晴らしく良くて、無駄な場面(≒私が眠くなる場面)がひとつもなかったです。終わり方も美しかった〜。ドッグファイト*2を思い出させるような少しノスタルジーも感じられる終わり方ですごく好きでした。

 

ゾンビランナイト

原作でも印象的だったけど、ここまで脳みそ真っ白になるくらい楽しい場面になるとは思わなかった。いやもう摂津万里のゾンビが!!

かっこよすぎたね。

夏組オタクなんだけどこの場面はずっと万里見てました。こんな美しいモノを見ずにはいれなかった。

ここ、演出も楽しいしダンスも歌もキャッチーだし、みんなキャッキャして遊びがあるので視覚的に楽しい場面なんだけど、莇が「芝居が楽しい」と思う始めての場面でもあって。見ているこっちもめちゃくちゃ楽しいので説得力がハンパなかった。

1幕のラストで莇が楽しそうにゾンビしてるの、ほんわかした。

 

莇のポートレート

親に進路を反対されて、説得するために行う渾身のポートレート。原作でも左京さんとの仲直りからこのポートレートまでで泣いてたんだけど、話の筋知ってたのに同じくらい泣きました。通うには泣ける演目すぎるから途中から秋組の土下座の角度とかチェックしてた。莇を庇う迫田のとっきーのお芝居も毎回全力ですごく良かったし、莇のポートレートが歌もお芝居もとても良かった。志音くんの真っ直ぐな歌がポートレートに合っているから、お母さんとのおもいでがダイレクトに響いてくる。銀泉会の会長といえどパパもこんなん見せられたら納得するよね〜!個人的にここでグッとくる演出になってて嬉しかった。

 

DEAD/UNDEAD

劇中劇の前に莇奪還の話します!秋組が莇奪還のために初日の開演を引き延ばさないといけなくなった時に現れる夏組!!!!めちゃくちゃカッコいい!!!!6人になってパワーアップしてるの頼もしすぎるし、莇への借りを全員で返そうとする夏組愛おしい。

莇奪還のアニマルギャングたちも可愛すぎた〜。笑顔でフルボッコにする臣くん、怖すぎる。夢に出る。

劇中劇は過去1話がよくわかんなかった!アニマルギャングからずっとアクションしてる秋組すごすぎ!!!ロミジュリもよくわかんなかったけどトルライでしっかり補完されたので、秋組もまた心の声がないライブver.観たい。きっと心の声の時に大事な話してる気がしてならない。原作も分かりにくいんですけど、まあかっこよさに振り切ってるので全然オッケーです!

いつも最後に使われる原作曲が今回は冒頭にも使われてたんだけど、弟を亡くしたイヴァンが次に発する言葉が原作歌詞の「夢なら醒めてくれ」なの凄い。あまりにもピッタリすぎて冒頭に持ってきたのかな?(多分違う)

RESPAWN(原作曲)難しすぎてよく人間で歌ったなーと思った。こんなんボカロが歌うための曲だよ。アクションしぬほどやった後これを歌い切るのかっこよすぎました。秋のリダルキは歌が安定してるので出来たこと。本当すごかった。

 

冬単に向けて

夏組が全員出るし…と想定より多く取っていた秋単だったんだけど、想像を遥かに超えて面白くて、エーステってすごいな〜と思いました。冬単も思ったよりチケ取ってしまってるんですが、きっと面白いでしょう。もうどんな舞台も俯瞰して、どこか冷静に見てしまうことが多くなっていた私に、改めて舞台の面白さを教えてくれてありがとう。毎回期待を超えてくるって凄いことですよ本当に。次の作品も絶対に面白いって期待できることって幸せなこと。梅雨組*3の皆さんは大変なプレッシャーだと思いますが、冬単もこれから来るであろう第5、6公演も楽しみにしています。

 

 

*1:結局3000字になりました

*2:東宝ミュ。オフブロードウェイ。パセック&ポールが作ってて私が大好きなミュージカル

*3:エーステの制作陣のこと