ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」
無職期間だったのになんだかんだ大阪まで行きました。
大好きなお話だからなのか、曲が良かったのか、出演者が良かったのか、サインが欲しかったのか(笑)
全部当てはまっています。
元々小学生の頃に揶揄われながらもロミオとジュリエットを読んでいたので、お話が好きなのは本当ですが、このミュージカルに関しては、ロミジュリとWSSを足して3で割って遊び心を足したような作品だったので、もはや別物なのかなと思っています。
別物と割り切ったおかげで、現代設定もすんなり受け入れられました。「そういうものなんだろう」って思考は偉大だ。
Wキャストのシャッフルにこんなに通ったことがなかったので、恐ろしさを初めて知りました…
好みの組み合わせを求めてどんどん追加されるチケット…止まらない引き落とし…とってもこわかったです(笑)
Wキャストの皆様を中心に個人的な感想をば。敬称略です。
★死
ヤマトナデシコ七変化でめちゃくちゃ面白い人だと思っていたら今回めちゃくちゃ怖くて、宮尾さん底知れないです…
死神という感じ。踊りがダイナミックで美しかったです。カテコがこわかった。ほんとにこわかった。
大貫勇輔
お初の大貫さん。人の動きっぽくないぬめっとした動き(褒めてます)。初めて観た時世界の王での登場が怖すぎてホラーかと思いました。大貫さんの場合は、死を司るものというより、死そのものという感じ。概念そのものというか、実体がないというか。カテコは一度キレッキレで世界の王を踊ってらした記憶が強すぎて、他はどうだったか覚えていません(笑)
★ティボルト
渡辺大輔
ザ・ヒール。清々しいほどにかっこいい。妹とガストンみたいだねって話してました。
筋肉のつき方がアメコミみたいで素敵です。「強くて優しい従兄弟」の強さ担当って感じ。
大ちゃんのガストン観てみたいなあ。きっとめちゃくちゃ似合うと思います。あんまり前方で見れなくて細かいところが追えなかったのが悲しいです。
広瀬さんはちゃんと認識拝見したのは初めて…かも。後半前方席で観るようになってからはずっと広瀬ティボだったのですが、どストライク好みのお顔で焦りました。
「強くて優しい従兄弟」の優しさ担当。ジュリエットのお兄ちゃん感が強くて愛情深くて良かったなあ。
2幕、それまでと打って変わって歌う「今日こそその日」の狂い方がめちゃくちゃ良くて、すごく好みでした。
★マキューシオ
初めましての賢章先生。
第一声がめっちゃ荒い声で大丈夫か!?と思うんだけどマブの女王や綺麗は汚いなんかは綺麗な声でさすが声優。比較的安定感あるなあって思いました。
小野マキュは全体的にキャンキャンしてて子犬感強め。ベンヴォーリオのことを「ベンベンベン!!」って呼ぶのが好き。
マキュの死は、客席への魅せ方が上手。毎回あまりアドリブなど変わらなかったのが残念ですが、お忙しい方ですしやっぱり安定してるのは強み。自由くん共々今後も声優と舞台俳優を掛け持ちして観劇層の幅を広げてほしいと切に願ってます。
平間壮一
今回落ちた人がめちゃめちゃ多いような印象の平間のそーちゃん。お見かけしたのは曇天以来で、相変わらず上手だったなあ。平間キュはコンプレックスや弱さ、気品や地頭の良さなど、言葉じゃない部分での演技がとても良くて、マキューシオとして訴えかける情報量の多さに圧倒されました。
基本ラリってるんですが、その中にも色々と表情が読み取れる演技ってすごいなあ。
公演期間中は事あるごとに平間キューシオのことを思いながらメソメソしてました。
白子さんもめちゃくちゃ良かったんですが、今回はそれをかなり超えて良かった。毎回のアドリブも楽しすぎました。今年はエンジェル観れるかな、と思うので楽しみです。
★ベンヴォーリオ
共演者喰われる俳優、馬場徹(笑)
ストプレはそこそこ観てて、ばーちょんのEXILEは聴いたことあるんですが←
ミュージカルは初めてです。
歌える!踊れる!滑舌いい!
非の打ち所がないのでほんと腹立ちますよねーかっこいいなあもう。
馬場ベンは兄貴感がすごくて、私がヴェローナの民だったらモンタギューでもキャピュレットでもとりあえずベンヴォーリオに惚れてると思います。
精神的にタフ。タフすぎて全ヴェローナの民衆が彼に甘えている。彼は悲しむ間も無くヴェローナのために働き、忙殺されて、落ち着いたころ、ふとどうしようもなく悲しくなるんだろうなあと思います。
代償で、頭や肩をポンポンしておでここっつんこしてほっぺたつねってロミオに正気を取り戻させようとする馬場ベンが萌のかたまりでした。
どうやって伝えようは、広島に原爆を落とす日みたいに15分間の長台詞でやってほしい。馬場さんの真骨頂は長台詞で滲み出る熱さだと思ってるので。
トリオよりコンビ向き。ミュージカルもとても良い。しかし早くつかこうへい演って、と思いながら目をハートにして見ていました(笑)
矢崎さんにとってロミジュリは昨年から続くミュージカル俳優への道のひとまずの集大成のような作品だったのではないでしょうか。
ボブで身につけたピッチとアルマンで身につけた発声方法で健闘してました。
やっぱり安定は今後の課題だと思うんですが、本当にここ数年での成長が目覚ましく、個人的にはこのままどんどん成長していってほしいなあと思っています。
声帯が出来上がるのは30歳なので、それまでに土台を作れたのは大きいのではないかと。
矢崎さんのベンヴォーリオはその辺にいる普通の若者でした。1人の青年が大人になるまでを3時間で描いていました。
世の中の多くの人って、周りの環境が大人にさせているんじゃないかと思うんです。
何かを失って、何かを得て、環境の変化に巻き込まれることによって人は成長せざるを得なくなる。
そのリアリティをミュージカルでここまで表現できるんだなあと。
やっぱり矢崎さんのお芝居とっても好きです。
とにかく後半にかけての「どうやって伝えよう」が素晴らしすぎて。後悔と、子どもだった自分を回顧する歌。やっぱりこの人は演技の人だと思いました。観ている人の感情を動かすことがとても得意な役者なんだと思います。
個人的にはミュージカルだけの人になってほしくないんですが、彼がもっと実力をつけてこれから上がるミュージカルはどんなものになるんだろうと今から楽しみです。
★ジュリエット
アイドルいくちゃん。私は今回までお名前くらいしか存じてなかったんですが、歌がすごく良かったです。
アイドルらしからぬ歌唱力。そしてめちゃくちゃ細くて可愛い。
すごく意志の強さを感じるジュリエットでした。
私の好みとしてはもう少し柔らかい方が好きなんですが、回を重ねるごとに柔らかさも出てきて良かったです。
いくジュリはロミオを愛することより、キャピュレットから逃れたい気持ちを強く感じたので、より意志の強さを感じたのかもしれません。でもひばりの場面は母性があったし、最後のジュリエットの死はとても美しかったなあ。
コゼットよりエポ向きだったんじゃないかなあ、とか堀北真希ちゃんのような役選びの方があってるんじゃないかなあとか思うのですが、成長が速いのでレミではどうなるかとても楽しみです。
木下晴香
歌唱王でパートオブユアワールドを歌っているのを観た時に素敵だなあと思っていた高校生をまさか1年後にミュージカルで観るなんて思っていませんでした。
お芝居より歌重視で観に行ったにも関わらず、ものすごくお芝居が良かったです。
はるジュリは本人の資質と私の好みがぴったり一致した感じでした。清らかで柔らかく芯の通ったジュリエット。ひたむきにロミオを愛する姿にもはや乳母気分で号泣しました。
すごい18歳が現れたなあ…。今後も色々な舞台で拝見したいので、どうか制作の偉い方宜しくお願い致します。
★ロミオ
古川雄大
アンニュイで周りと違った空気を纏う原作ロミオ。常に死と一緒に過ごしてきたような印象を受けました。ゆんロミオは人生の出来事ひとつひとつに繊細に傷ついているようでした。振った女性に対しての罪悪感や、キャピュレットとの戦い、ひとつひとつを全て引きずって生きているのかなあと思っています。どこまでも優しく、受け入れてしまうから、ぽっかりと空いてしまった心の穴を埋めてくれたのがジュリエットだったのかなあと。ゆんロミオはジュリエットといる時だけ真に生きたと言えたのかもしれないです。ジュリエットと共に死ぬこととジュリエットなしで生きること、どちらが死に近いかというと後者なのだと思っていそう。なんだかラブストーリーを超えたものを感じていました。
歌もダンスもとてつもなく上手でした。声量めちゃくちゃ大きくなったよね…?
どんなに泣いていても乱れない音程と死との踊り。いつのまにかミュージカル俳優として、座長として引っ張っていくお兄さんになっていてそういう部分にも感動してしまいました。
今回こんなに私がチケットを増やした原因のひとつは大野くんのロミオがありました。
小学生の頃の私の理想と想像を具現化したようなロミオ。キラキラプリンスでどこまでもピュアなロミオ。
言葉では語りつくせないほどに魅力的でした。
大野ロミオはモンタギューの血筋により死から目をつけられたように見えました。自分の意志とは関係なく死に突き進んでしまうような。
全力で闘って太陽のように微笑むので、毎回「もしかしたら、今回は生き延びるのでは…?」という期待を持ってしまうような前向きな陽の気に満ちたロミオ。私は大好きでした。
原作に近いかと言えばそうでもないと思うので、今後こんなに私の理想に近いロミオは現れないかもと思っています。
踊りも歌も個人的には及第点ですが、やっぱりまだまだ伸びると思うので、今後の大野くんにまた会いに行こうと思います。
というわけで年始で金欠にも関わらず財力の限り通ったロミジュリでした。
シルヴィアさんの乳母に泣かされ、岡様のジュリパパに泣かされ、秋園さんと香寿さんとさかけんさんの歌に鳥肌が立ち、岸さんと阿部さんの渋さに痺れ、川久保パリスの幸せを願うという、大人組の豪華さに幸せだった公演でもありました。
チャレンジと勢いが強いメインキャストがしっかりと試せるような環境だったのは大人組が素晴らしかったのも大いにあると思います。
ロミジュリはあと一歩のところで運命に翻弄される若い2人という、悲しいお話だと思っていたんですが、今回のラストで死が苦しみ、キリストの前で倒れて終演という演出で、「愛は死に勝つことができる」という明確なメッセージを受け取れたことがすごく収穫でした。見方によって大きく後味が変わるのだなあと改めて感じました。
やっぱりこのお話自体がとても好きなので、次回もぜひ観に行きたいです。