舞台の映像配信も悪くないと思えるようになった話
生で観る舞台はDVDで観る舞台より100倍面白い。
これはずっと前から思っていて、今でも変わらず現場主義を貫いているんですが、そんなこと言ってられない状況下。気がつけば色々と舞台配信を観ている。
そして、意外と悪くないなあと思ってきた。私は映像に対する集中力は全然持たないので、テンション的には結構辛い時もあるんだけど*1、だいぶそのしんどさが取れてきた…というのが正しいのかな。この配信楽しかったーって思えることも増えてきた。
というわけで鑑賞した舞台配信について、まとめて感想を書こうと思います。
緋色の研究(矢崎広×相葉裕樹ペア)
人生という無色の糸には、殺人というまっ赤な糸が混ざっているー
思えばこれを観てから、舞台の配信が面白くなってきた気がする。理由は多分、お芝居に飢えていたから。コロナ禍では推し、舞台俳優に留まらずたくさんの有名人の皆さんが日常をどんどん配信してくれていて。辛い毎日を一緒に耐えられるのはとてもありがたいことですし、推しが元気でいてくれればそれだけで嬉しいです。だけど私はやっぱりお芝居を観たくて応援しているので。
緋色の研究は2012年に朗読劇として多数の俳優さん同士のペアで演じられていた作品を、今回A&G Plus あさステでパーソナリティをしている5名の俳優を中心に配信で上演したものです。2012年も途中で追加された村井良大×矢崎広の回をすっごく観たかったんだけど、結局取れずじまいで。今でも観たかった作品の一つでした。
そんな念願の緋色の研究をこのタイミングで観ることができて、コロナのおかげで起きた唯一の良いことかもしれません。
今回は矢崎シャーロック×相葉ワトソン。緋色の研究自体初めて観ました。シャーロックホームズは小学生の頃あたりに読んだことはあるんだけど、あんまり合わなくて…*2。今回はめちゃくちゃ面白かったので当時は難しかっただけかも。
基本的にはシャーロック役はシャーロックを主に演じていて、ワトソンはト書きやレストレイドなどの脇役を10数人演じていました。
ワトソン役の相葉くん、声の使い分けがすごい…!!ばっちのお芝居を観たの久しぶりすぎたんですが、こんなに声に幅があるなんて知らなかったので驚きでした。画面見てないと何度か3人目が現れたのかと勘違いするレベル。さすがヴィル様。声の切り替えが大変だったのではと思います。あとあまりにもスタイルが良いワトソン。脚長っ!!!
矢崎さんはホームズ。この2人だとどちらもワトソンっぽいので、始まるまでどちらになるか読めなかった。矢崎さんのホームズは原作の几帳面さや変人さを、矢崎さんのベースの中に溶け込ませていた。どこかにいそうで、でもいない。美しい謎に囚われている天才でした。冒頭の超有名台詞「人生という無色の糸〜」の言い方もとても良かった。
後半の第2部は、彼の本領発揮といったところ。突然モルモン教の話になって観客が戸惑っているところを、ホープ氏の独白で一気に引き込む。ともすれば集中力が切れそうな2幕で、静かな狂気を含んだホープが過去から現在までの想いを語る場面は、スリリングで面白くもあり、とても悲しかった。重厚で説得力のある演技で、やっぱりとても好きです。
矢崎さんは今回ホームズとホープの2役が主だったんですが、途中にちょっとだけ演った女夫人がうれしかった。女中たち*3に囚われている女なので…。
2人の和気あいあいとしたアフトクもあって、とてもお得でした!2016年のスカピン団のグループLINEが今も稼働してるのが1番の衝撃!笑
他のチームも観たかったのに逃してしまった…。モリミュを観たばかりなので、しょごのホームズが観たくて仕方ないです。
play a life
【無料配信中】
— 劇団TipTap (@gekidan_TipTap) 2020年5月23日
ミュージカル『Play a Life』2018年版(上演時間75分)を配信しております。
日本語字幕付きでもご覧になって頂けます。
出演 岸祐二 彩吹真央 平川めぐみ
⚫︎配信期間
5月31日(日)迄
⚫︎配信サイト
youtube〔TipTap_Channel〕 https://t.co/7mixYGo2dY#劇場に灯りが灯るまで
お友達にギリギリで観てって言われて突発で観た作品。全員歌うまでストレスフリー!少ない人数で、話も穏やかなんだけど、少し不思議で心が温かくなる作品でした。75分という短さも魅力。時間の割に濃い内容だった。岸さん演じる世界史の先生が歌うおすすめ映画ソングで「時代考証なんてどうでもいい。その時代に生きた空気を感じろ」的な歌詞がなんだかすごく心に残ってる。
TRUMP
とうとう繭期に足を突っ込んだ。個人的な陳内将ブーム*4真っ只中に、「初めての繭期」としてTRUMPシリーズ一挙放送が始まって、偶然アーカイブが残ってたのを観れたのが幸いでした。後に運営ミスだと分かって翌日からはなかったんだけど、20時に毎日配信を観れる人は稀なので次の日の朝まででもいいからアーカイブあると嬉しいな。きっかけは「ちゃんじんのクラウスはやばい」ってツイートが流れてきたからだし、アーカイブが残ってることもTLで知ったので、つくづくTwitterって偉大だなと思った次第。
TRUMPは「つらい」「しんどい」「悲しい」という感想が多くて、私はどちらかというとハッピーな物が好きなので敬遠していた作品。まあ確かに絶望的なんだけど、そもそもめちゃくちゃ面白いストーリーだった。ファンが多いのでそりゃそうですよね。全然展開の先が読めない。後半で鮮やかに裏切られて、登場人物と同じタイミングで衝撃を受ける。ある種ミステリー的でもあって、謎解きがとても楽しかった。それぞれ登場人物たちの描写も丁寧で、全員に感情移入できる。まあ結構ひどいことしてる人も多いんだけど。そして程よく全員エゴイストなので第三者的に距離を置いて観やすくもありました。
ゆっくんのウルとまひろんのソフィ、まだ若かりし頃なので*5今より滑舌も甘くて、たどたどしい面もあるんだけど、剥き出しの若さでぶつかってて傷だらけになるので心が痛い。2人とも昔から全身全霊でぶつかってくるお芝居なんだよねえ。演技力が技術を大幅に超えてくるというか…。未熟さすら魅力やリアリティに変えてくるというか…。終わってからも2人の描かれていない場面まで想いを馳せていました。
脇を固めるメンバーは安定に安心の実力者ばかり。お目当てのちゃんじんクラウスもとても良かった〜。これは凄い。語彙力がないので凄いしか言えないんですけど。凄すぎて次の日もぼーっとしてた。また最初から観たい。ちゃんじんはそもそも実力は申し分ないので、色んな演じ分けを観るのが楽しい。クラウス、いつか生で観れたらいいなあ。
グランギニョル
TRUMPの親世代のお話。この作品から観ると、このネタバレとこのネタバレを踏むのか〜と考えながら観るのが面白かった。染様のダリ様が可愛くて面白いので、TRUMPシリーズの中では1番見やすかったかも???りょんのアンジェリコ様は美しすぎてなんの冗談かと思った。染様とりょんという絵力の強さ…。2人とも威厳を持ったお芝居が上手なので、父親たちの話と聞いても全然受け入れられた。まあ綺麗すぎますけど。
エリザベート好きな人とか好きなのでは??あと黒執事好きな人とか。
グランギニョルって検索かけたら、実在のグランギニョル劇場の悪趣味なポスターが出てきます。グランギニョル劇場で残酷なお芝居に熱狂してた民衆が、実際に起きたホロコーストの衝撃が強すぎて、フィクションである残酷なお芝居に興味が持てなくなったって書いてあって共感してしまった。私も今、感染映画観ても現実と重ねて辛いもんなあ…。
本作は残酷劇という意味で使用しているので本来のグランギニョル劇場とは全く別物ですが。TRUMPの気持ちを考えると、神様ってこういう望んでない儀式とかめちゃくちゃあるんだろうなって気持ちになってくる…。1公演限りのあの場面は驚きすぎて悲鳴上げそうになりました。
SPECTER
ヴァンパイアハンターが人里離れた村で起きた事件を解決するため、村に滞在していく中で起こった不思議な事件。
これも時期としてはグランギニョルくらい。patchさんのメンバー全然知らないので、逆に先入観なく役柄にしっかり入りこめた気もする。臥萬里かっこいいなあ〜。私田舎嫌いなので、話としては1番イライラしたかも笑
村の秘密はなんとなく読めたけど、結局後半の謎は全然読めなかったので、ひとつ読めたからといって舐めてたらダメですね。やっぱり裏切られるのって面白いし気持ち良い。
マリーゴールド
突然TRUMPが超本格派ミュージカルになりました…。え、すごい、みんな歌がうますぎて、今までとのテイストの違いにびっくりした。そして女性陣の美しさよ…。いや男性陣も美しいんですが(笑)あと、人生で初めてこんなに照明に感動した。
グランギニョルにも出ていためいめいちゃんが本領発揮してました。すごい。めいめいちゃん演じるガーベラの悲しみに引きずられて泣きながら観た。マリーゴールドには大きなどんでん返しはなかったな…と思ったけど、今思い返したらめちゃくちゃあったので、私の感覚が狂っていたみたいです。どんでん返し過剰摂取。できたらリリウムを観た今、もう一度観たいな…。
リリウム
とうとうU-NEXTに入り直してリリウム観ました。これもテイストとしてはTRUMPよりライト。グランギニョルの次くらいに見やすいかも。全員女の子で可愛い。あとダンスすごい。意外と前半は日替りもあってほのぼのしてました(当社比)。
もうこんなに何日もTRUMPシリーズ観てるんだから、これ以上驚く展開なんてないと思ってたんですよ。オーバードーズかってくらい大どんでん返しを摂取していたので。ぜんっぜんそんなことなかった。むしろ前作までの知識が邪魔をして先を見通せなかった気すらする。ラスト、あまりにも衝撃展開でしばらく呆然としました。
最後に観てしまったけど、もっと早く観るべき作品だったかなあ。スペクターとマリーゴールドは改めてもう一度観たい。
この時期、TRUMPシリーズが観れるのが毎日の楽しみでした。黑世界もリリウムの後から、よりめちゃくちゃ楽しみになりました*6。COCOONもどうにかして観たい…有料でいいので…。
歴史が長くて踏み出しにくい作品だったので、この期間に一気見できて良かったです。名作。韓国とかでも受けそう。
ブラックパール
結構色んな人からオススメされていた10年前のアミューズの名作。ラインライブで配信があり、良い機会だったので視聴しました。
これもめちゃくちゃ面白かったー!画面越しに観る演劇って生で観るより笑いのハードル上がりません?きっと劇場なら笑えたんだろうなーってネタを数多くの配信で観ました。
でもブラックパールは声上げてゲラゲラ笑った。完全に若手俳優を舐めていました。芸人いないのに全員めちゃくちゃ面白い。ストーリーは結構ずっとシチュエーションコメディなんだけど、その中に無数の伏線が!完全に油断してました。そして、ラストは絶対に読めない展開。すっかり騙されて気持ちよく観れました。
若かりし平間のそーちゃんがひたすら可愛かった。こんな可愛いそーちゃん観たことない…。愛すべきおバカ…。
まとめ(という名の宣伝)
配信で記憶に残ってるのをつらつら書いてみました。配信って手軽なので、自分のモチベーションによってはガンガン観れる。なんなら今も「文豪とアルケミスト」観てる。生配信はリスキーだけど、過去DVD作品は結構クオリティとしても安心して観れることにも気づきました。
そんな私でも、安心してお勧めしたい生配信が明日2020/8/4、8/5にあります!!!
ジャージー・ボーイズ・イン・コンサート!!!
撮影はなんとWOWOW。WOWOWの撮影って物凄いんですよ。このままDVDに落とせちゃうレベルなんですよ。ライブビューイングのカメラも相当凄いなって思うんですが、それでもWOWOWは映像のクオリティがレベチな感じがする。初演は読売演劇大賞を受賞した作品です。今回も帝劇で再再演の予定が中止となり、コンサートでの開催になりました。不幸中の幸いというか、本作の作曲家のボブ・ゴーディオの厳しい権利関係になんとか折り合いをつけて、この度、初の、配信です。ボブがどれだけ厳しいかというと、初演の時に「CDが欲しい」ってアンケートに書いたことをツイートしたら、本国のJB知ってる方たちから鼻で笑われたレベルの厳しさ*7。さすがのボブもコロナ禍には同情してくれた。実は優しんだよね知ってる。推しが演じてますので(笑)
B席の代金はかかっちゃうんですが、画質も音質も映像のクオリティもめちゃくちゃ凄いので、興味を持った方はぜひ。
そして推しの帝劇デビューを一緒にお祝いしてください!!!!!!
配信が劇場を超えることはないと思います。でも、劇場で演じられているだけでは出会えなかった、素晴らしい作品に出会うきっかけにもなるんだと感じました。
興味が増えすぎて、劇場が普通通りの再開をしたら破産してしまうのではないかと怯えていますが(笑)これからも色んな作品と出会うきっかけをもらえたらいいなと思っています。