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君を夏の日に例えようか

Shakespeare’s R&J~シェイクスピアのロミオとジュリエット

大好きなロミオとジュリエットを1年ぶりに大好きな矢崎広さんがするというトライストーンの粋な企画です。

前回はベンヴォーリオでしたが、今回はロミオ。若い頃にしかできない役かなあと思っていたので、このタイミングで観れて嬉しかったです。

〈あらすじ〉

厳格なカソリックの全寮制男子校の寄宿舎で暮らしている4人の学生。

彼らは夜になるとこっそりベッドから抜け出す。

読むことを禁じられたシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』のリーディングが始まる。

「さあ、夜の世界の幕開けだ!」

秘密の遊戯が始まるうちに、見つかってしまうのではないかという不安に怯えつつ、彼らはこの遊びをやめることができない。

そして彼らは4人だけで配役を分け、この芝居に熱中して演じていくうちに・・。

「ゆうべ夢をみた。夢を見た…夢を見た…」

〈感想〉

学生とロミオとジュリエットの世界の二重構造(もしかしたら三重構造)になっており、学生でありながらどんどんロミオとジュリエットの世界の人間にのめりこんでいく、という設定。どこまでが学生の演技でどこから役に入り込んでいるのか、それは役者によって回によって異なる感じを受けました。学生たちが自らの台詞を話すことはなく、いつも何かの誰かの言葉や演技を通して自分の感情や迷いを表現していたのが斬新な表現でとても面白かったです。

観客に伝わりにくいかというと全くそんなことはなく、むしろ学生たちが読んだままの印象で台詞を話しているので生きた台詞となって私たちに伝わり、普通に聴くより分かりやすいほどでした。これにはもちろん松岡和子さんの訳にもかなり助けられていると思いますが。

ロミオとジュリエットの話よりむしろ学生たちの関係性の方が、観る人によって印象が違ったのではないかと思います。下記にてそれぞれの印象を書いていきますが、多分観た人により少しずつ違うので主観だと捉えていただければ。

学生1(矢崎広)

この夜の抜け出しの首謀者であり、リーダー。

ロミオとジュリエットをやりたいと言い出したのも彼。のめり込みやすく、元々シェイクスピアに心を奪われていたんだろうな、と思います。ルールを破る思春期の喜び、というよりロミオとジュリエットが憧れで、一度やりたくて規則を破った、という印象が強いかも。

ロミオに自分を重ねていき、1が役と自分が分けられなくなればなるほど、観てるこちらもロミオとジュリエットの世界に入り込む不思議。

後半のジュリエットの死〜霊廟の場面が最高に好きです。たまに冷静さを取り戻そうと足掻く回もあれば、完全にのめり込んでいる時もありました。どちらにせよ、あまりにも良い声で痺れていました。また、前半のジュリエットの出会いで、熱っぽくなるのも良いし、ソネット18番を訥々と語る場面も大好きです。

最後は夢から醒めた学生のままの1なのか、大人になった1の回想(三重構造)だったのか、それとも全て現実なのか…答えは色々だったように思います。

わたしは彼の演技の熱が温度が大好きなんですが、シェイクスピアだとそれが大爆発していて至高の時間を過ごせました。いつも言ってるんですが、いつかハムレットを演っていただきたい…。なんにせよ、またシェイクスピアを演じる矢崎さんが観たいです。トライストーン様よろしくお願いします。

学生2(柳下大)

演技力と女性役に定評のある大くん。学生2は主にジュリエットなんですが、分かりやすくに女性っぽい演じ方をしていないのにどんどん可愛らしいジュリエットに見えてくるのが不思議でした…すごい…。

学生2はこのグループ内で少し雰囲気の違う子なのかなあと。少し一匹狼の風格もあり、マイペースな部分もあるなあと思っていました。のめり込んでいたのに最後の最後に戻れた子なのかなあと思っています。その度合いが日によってちょっと違うのが面白かった。最後パックの台詞を言って学生1を絶望させるのですが、ガンガン泣いていた回が個人的には印象強かったです。

学生3(小川ゲン)

1番わたしがこじらせた学生3です。

学生1が初めに起こして、初めに抜け出そうとけしかけたのは学生3なんですよね。マキューシオに指名されて喜んでいる姿や、1と2がお互いに夢中になっているのを腹ただしく思っている姿が何を考えているのか3の1への感情が気になってしょうがなかったです。

結婚式の場面、3が神父様の役を抜け出して暴走して1を殴るのが印象的でした。

その後ソネットを読んで思い直すのですが、ロミオの誓いと同様ソネットはみんな諳で読めるという事は、学校で授業があるんでしょうか?ありそうな気もしますが詳しい方教えてください。

ゲンくんは初めて舞台で拝見したのですが、演技も歌も良いし、イケメンだし笑、穏やかで良い役者さんだなあと思いました。

学生4(佐野岳)

岳くんといえばアクロバットという印象だったのですが、それを全て封印して挑まれていたのが驚きでした。そして同時に演技にも驚き。乳母で会場中の笑いをかっさらっていました。4はどちらかというと一歩引いたところでこの芝居がうまくいくように冷静に動いていた人物だと思います。バルコニーの場面では演出もしていたり。みんなの仲裁役で見守りながらも冷静、そして面白い。合コンで選ぶなら絶対学生4、と帰りの居酒屋で満場一致でした。

本人の魅力と4の役柄がうまく融合していたなあ、と思います。

いかんせん古典なので全く難しくないというと嘘になりますが、去年たくさんミュージカルロミオ&ジュリエットに通っていた私たちファンにとって、ロミジュリはとても身近な物語になっており、ベストなタイミングだったと思います。

いつもちょっと難解なトライストーンの舞台ですが、とっても楽しいのでぜひ定期的に演っていただきたいです。