myえん○チャート2016
先ほど演劇キックを購入し(web版)、投票を済ませてきました【えんぶチャート2016】!
毎年結果を楽しみにしてますが、大体私の投票した作品がトップ10内に入ることはなく、もちろん感想なども載ることはないため、ちょっと寂しい気持ちがあるのも事実。
したがって勝手に自分が投票したランキング順にコメントしたいと思います笑
第5位【露出狂(パルコプロデュース)】
自分でもなんでこの作品がトップ5に入っているのか謎です…笑
ぶっ飛んだ設定、現実味のない展開、下ネタのオンパレードで放送禁止用語連発なんですが、なぜか関係性や人物造形があるあるすぎて頷くところばかりという。人間観察バラエティで個性が強い役ばかりなので、14人の役を観終わると大体覚えてるのがすごい。凄まじく強い力で舞台に引っ張り込まれるようなエネルギーに満ちた作品でした。この作品は今後も色んな役者さんで観たい….。前回公演観なかったのが悔やまれます。
この作品観た後に会社で「もっとチームワークを高めるためにはどうするか」というミーティングがあり、「ら…らん※※…??」という発想しか出てこなかった私にとっては、ある意味2016年現実世界に一番影響を与えた作品です笑
第4位【クレシダ】
平幹二朗さん最後の作品。それを抜きにしても今年観たストプレの中で一番でした。
詳しくは別記事にあげていますが、演劇は継承し、変化するものであると平さんの圧倒的な演技力と説得力で教えてもらった作品です。言葉にすると小難しそうですし、実際そのつもりで観に行ったんですが、とても軽妙でユーモラスな面白い作品でした。舞台全体が愛に満ちていました。橋本淳という役者がとっても好きだなあと再認識した作品でもありました。
これを機に平さんをもっと観よう!これからたくさん観たい!と思っていた矢先の出来事だったので口惜しさも想いも作品とともに強く残っていますが、この作品を観れて本当に良かったです。
トップ3は全部ミュージカルでした。
第3位【ノートルダムの鐘】
12月29日の年の瀬にとんでもないものを観ました。
アラン・メンケン作曲の素晴らしすぎる楽曲たちが好きすぎて、観る前から英語版をずっと聴いてハードルを上げていたのですが、さすが劇団四季。素晴らしかったです。
元々原作ノートルダム・ド・パリ寄りのバレエ「エスメラルダ」しか観たことがなかったので、展開については驚きはなかったです。どちらかというと訴えかけるメッセージ性の強さに驚きました。劇場から帰る電車の中でもずっと心はノートルダム大聖堂の鐘の下にいるようなふわふわした気持ちで、未だに帰って来れてません…。
ノートルダムの鐘については、また今年もたくさん観て別記事に書きたいので、これくらいで控えます。ディズニー版が好きな人、レミゼが好きな人はぜひ観て欲しいです。
第2位【キンキー・ブーツ(来日版)】
とにかく面白かったーーー!!
今でも会社に行くときはキンキー、帰る時はノートルダム聴きながら帰っている毎日です。キンキーブーツの曲は聴いていると元気がもらえるので。
自分を信じて人を愛したくなる作品。
特に泣ける作品というわけではないのにボロボロ泣いてました。
楽しくて面白くて幸せであっという間に観終わります。去年の後半はローラの強さと美しさに精神的に支えられてました。
来日版しか観れてないので三浦ローラも観たかったなあ…!再演を強く期待しています。
第1位【ジャージー・ボーイズ】
なんといってもこれ。2016年の半分はこれを楽しみに生きてました。
詳しくは別ブログにあげてますがジュークボックスミュージカルに「うーん」ってなることが多い私でもとても楽しかった。
実在するグループの話ですが、単純にひとつの物語として面白かったです。
Wキャストどちらも味わいが違って、一粒で二度美味しい的な舞台でした。
始まる前からずっと楽しませてくれた、去年のなかで1番思い入れの強い舞台です。
再演が待ち遠しい…。HPが若干リニューアルされていてそわそわしています笑
以上のようなランキングで投票しました!
次点で矢崎さんの他舞台、ママと僕たち、瞑るおおかみ黒き鴨、エンドレスショック、るろうに剣心などなどあるので、5作品しか選べないと正直あれもこれも入れたかったのに、、、ともどかしい気持ちになります。
年間50作品くらいだった私でそうなので、もっとたくさんの作品数を観てる人たちはどうやって選んでるんだろう…笑
3月の結果発表を楽しみに待っています。
スカーレット・ピンパーネル
東京公演と東京凱旋公演を観に行きました。
<あらすじ>
1789年、王制に対する不満を爆発させた民衆が蜂起し、フランス革命が勃発。その後、ロベスピエールを指導者とするジャコバン党が権力を振りかざし、元貴族らが次々と処刑される恐怖政治が続いた。
嵐が吹き荒れる混乱の中、無実の人々を断頭台から救おうと立ち上がったのは、イギリス貴族のパーシー・ブレイクニー。
彼は仲間と共に「スカーレット・ピンパーネル」を結成し、知恵を絞った救出計画を秘密裏に敢行。その活躍ぶりは瞬く間に広まったが、女優を引退しパーシーの妻となったマルグリットでさえも正体を知らず、いつしか夫婦の間に大きな溝が生じていた。フランス政府特命全権大使のショーヴランは元恋人であるマルグリットに接近。ある取引をチラつかせながら心のうちを熱く、甘く語りかけ、ピンパーネル団の素性を暴こうと執念を燃やす。
愛を疑うパーシー、愛を信じたいと願うマルグリット、愛を利用するショーヴラン。恐怖政治の嵐の中で愛憎が交差し、物語はスリリングな展開をみせてゆく…。
<感想>
フランス革命のその後の話をイギリス側から描いた作品。
1789観たし大丈夫でしょうとタカをくくっていたら、意外とついていくのが大変でした…
東京公演と凱旋公演の間に安蘭様の宝塚版スカーレット・ピンパーネルをDVDで拝見してとっても補完されたので、ちょっと腑に落ちなかった方は宝塚版観てください。安蘭パーシーがイケメンすぎて鼻血出ます。
基本的にはパーシーとマルグリットにショーブランが入り込んで過去と秘密に翻弄される三角関係が中心になっています。
設定が美味しすぎて、すごくごちそうさまだったんですが、あんなに歌多かったのに何故か関係性や想いなどが見えにくかったなあ、と。
歌→芝居→歌っていう切り替えがショー構成のように見えて、あんまりハマらなかったのかなあって思います。
あと、単純にショーブランの歌の方が好みだったのもあります。マダムギロチン好きだなあ…!
「ひとかけらの勇気(悲惨な世界のために)」や「炎の中へ」「あなたこそ我が家」も名曲ですけどね!ただ、曲の使い方が宝塚版の方が好みだったのもあり、余計にショーブランやロベスピエールのいわゆるヒールの歌の方が素敵に思えてしまいました。
でもお話は勧善懲悪ものだし、サクッと楽しく観れました。時代ものに勧善懲悪なんてあるのかなっていう部分もありますが、ロベスピエール側からも描いていたのも良かった。
あと、とにかく全員歌うまですし…!!
石丸さんも石井さんもとにかく歌うまですし、安蘭さんは美しくて歌もいい…!
安蘭さんのお顔立ちがすごく好きで途中からマルグリットに心奪われすぎてました。
そして矢崎さん演じるアルマンと安蘭さん演じるマルグリットが、もういっちゃいちゃ姉弟で!!
アルマンがマルグリットの結婚に付いて海を渡ってイギリスで暮らすことからも分かるように、2人は2人だけで生きてきたんだなあ、という印象をすごくうけました。なにかあるとすぐ抱き合うし、「1人にしないで!」とアルマンに言っちゃうし、『あなたこそ我が家』を2人で歌っちゃうし、マルグリットが助けに行っちゃうし。2人は2人だけで助け合って生きてきて、2人ともがパーシーを好きになったから出会って6週間でイギリスに渡ったんだなあ、と思います。
韓国ドラマの『華麗なる遺産』のウンソンとウヌみたい。日本ではあまり考えられない関係性ですが、外国だとアリなんでしょうね。
アルマンが超かわいくて…!これはほんと贔屓目なしに可愛かったです。
いつも言うように矢崎さんの間の取り方がすごく好きなんですが、アルマンはそれが存分に発揮されてました。
基本的には男らしく勇敢であろうとしながら、ちょっと(かなり?)ぬけてる愛らしい役って、言葉にすると想像できないですね笑
今年は弟(分)な役が多かったので、すっかり板についているなあ、と。
ビジュアルもめっちゃくちゃ好みでした…!本当ありがとうございました…!
あと、特筆すべきは歌!!!JB以上の成長を遂げていて、誰ですかこの方状態…!!
発声法自体かなり変わった気がします。
安蘭様との「あなたこそ我が家」は短かったけど、記憶から失いたくないくらい素敵でした。
アルマンはピンパーネル団としているのですが、序盤以外はそんなに共演シーンはなく、ピンパーネル団の若手たちもたくさん凝視できて、目が2つしかない身としては助かりました笑
基本的にちゃんともやもっくんを見ていたんですが、上口くんが素敵すぎていつも目を奪われていました笑
ポージングの1つ1つの美しさ、目線の使い方が上手すぎて…!!
ピンパーネル団は出番としては満足なんですが、もう少しキャラクターを知りたかったなあ、と。
もっと出番の少ないロベスピエールの方が印象づけられたので…
しかしその分フリーダムなアフトクはとんでもなく面白かったんですが!
お話的には小池先生監修の宝塚版の方が好みなので、ぜひ観に行ってみたいと思ってます。
完全に思惑に嵌められてる感じはありますが…笑
季節が僕たちを連れ去ったあとにー「寺山修司からの手紙」山田太一編(岩波書店刊)よりー
<あらすじ>
寺山修司と山田太一が過ごした学生時代、寺山は19歳で腎臓の病気(ネフローゼ)を発病し、入院していた時期に交わされた2人の書簡集。
それから季節は変わり、2人は大人になり、別々の道を歩み…
最後にひととき、またかけがえのない時間を過ごします。
若者たちでなければありえなかった、創造するエネルギーの入り口で出会った2人の永遠の時間。
<感想>
正直なところ、寺山修司さんも山田太一さんも作品名を聞いたことはあっても実際拝見したことのない方々のお話だったので、とてつもなく不安な気持ちで挑みました。そして序盤の本の引用が多用された手紙の部分から、内容を全て理解をすることは諦め、ただただ2人がどういう心情で過ごしていたのかを感じ取ることに専念していました。
在学中ネフローゼに侵されて入院している寺山と、その見舞いに来て話足りずに手紙のやりとりをする山田。2人の友情と青春を書簡を元に構成されていたのですが、その構成がとても良かった。
私のようにお二方をミリしらで挑んできた人間にも極力分かりやすいように構成されていたなあ、と思います。
山田さんと未知さんが寺山さんを思い出すように始まる序盤から、大学時代へと時が戻り、時系列に沿って2人の気持ちの流れを、実際の書簡や寺山さんの初期の作品、日記を組み合わせて辿り、社会に出た2人の関係性を現在の太一さんと未知さんの回想で描き、寺山さんへの弔辞で閉幕します。
観終わってから原作本を読んだんですが、このエピソードが飛び飛びな本が綺麗に1つの作品として構成されてたなあ、と演出の広田さんに感心しっぱなしでした。
手紙のやり取りが主ですし、前半は寺山の病気の話と思想や恋の話が多いので静かに話が展開されていました。この辺が本の引用や大学の友人の話などが見えなかったため、一番理解が難しいところだったんですが、山口さんも矢崎さんもとても感情豊かに読まれるので、落ち込んでいたり、怒っていたりしながらも互いを大切に思っていることが節々に伺えて微笑ましく見ていました。
喧嘩のあとの仲直りの仕方や、手紙が来ないことへの不満の伝え方が回りくどくて可愛いなあ、と。
ぐっと引き込まれたのは、太一の自殺未遂の場面からです。
「僕は、乞食のようなんだよ」と言う台詞にぞわぞわと鳥肌が立ちっぱなしでした。やっぱり矢崎さんに劣等感のある役柄を演じさせるとピカイチだなあと思います。
太一のホンモノが隣にいる劣等感や焦燥感は本当に痛いほど伝わってきて、それは社会人になってからの場面でもそうでした。
上下の差はあったけれど、大学という同じ箱で同じことを学び、同じものを目指し、創作し、その時は確かに隣にいた友人と、社会に解き放たれてから同じステージに立てなくなる恥ずかしさに共感し過ぎて心臓が痛くなりました。学生の時に話していた内容と比べて社会に出てからの自分の発言のなんと俗っぽいことか。もしかすると私自身がモラトリアム期間が長かったので、より痛かったのかもしれません…笑
『人間ってのはもっとすばらしいもんだ。自分に見切りをつけるな。人間は給料の高を心配したり、電車がすいてて喜ぶだけの存在じゃないんだ。
その気になりゃあ、いくらでも深く、激しく、ひろく、優しく、世界をゆり動かす力だってもてるんだ。』
という台詞が大好きすぎました。語る山口さんは全く台本を見ず訴えていて、もはや朗読劇ではなくて劇中劇でした。
このドラマ見たいです。
最後の山田さんの寺山さんへの弔辞の場面でこれまで淡々と受け止めていたのに突然こみ上げてきてしまい、ポロポロと泣いてしまいました。
矢崎さんの太一のこの場面が絶品で…
真っ直ぐ前を向いて涙を流しながら弔辞を読み上げる演技に、途中ではたと「これは演技…なんだなあ…」とちょっとだけ恐ろしくなりました。
本当に弔辞をお葬式で聞いている感覚になってしまっていたからなんだと思います。
山田さんが「じゃ、また」と弔辞をしめる時の後ろにいる寺山さんの表情と、その後山田さんが寺山さんに笑顔でハグをしに行き、笑い合う2人が愛おしく、本によって結ばれた一生に一度巡り会うかのような関係に少し羨ましさも覚えました。
また、個人的に利害関係で結ばれた友情なんてくそくらえだと思っているタイプの人間なので、そんな私と一緒にいてくれる今の自分の周りの人たちを大切にしたくなる素敵な作品でした。
矢崎さんにも時々書いてますが、色々な人に手紙書こうとも思いました。手紙は財産になりうるのだな、と。
ちょっとだけ物申すなら、2人の濃密な人生を2人の役者だけでじっくり観たかったなあ…と思います。単に私の小劇場アレルギーが出てきただけとも言えます(笑)。
山口翔悟さんは初めてお見かけしたのですが、とても端正なお顔立ちで素敵なバリトンボイスで、読み方も心地よくって、良い俳優さんだなあと思いました。コミュニケーション能力が低く、人との距離の取り方がおぼつかないところが、天才肌あるあるでとても良かったです。
矢崎さんは「寺山さんは四十七歳で亡くなり、私は八十一歳になってしまった」という印象的な台詞から始まり、その後作中で2回繰り返すんですが、その言い方が全部違い、あまりにも自然にしっくりときているので、噛み締めるように堪能させていただきました。
やっぱり彼の間の取り方は凄いです。観客の笑いや引力を操ることができる。難解な台詞を「読む」のではなく「伝える」ことができる。
やっぱり彼の演技が大好きだなあ、と改めて気づけた公演でした。いつも言ってますが…(笑)
普段生活していると、どうしても自分の好みのものや愛着のあるものが生活の中心になっていって、もちろんとても心地よいんですが、矢崎さんから色々な知らない世界に連れていってもらえるのがとても楽しかったりします。
寺山修司と山田太一という、命を燃やすように生きた2人を知れて良かったと思いました。
トライストーン制作はとっつきにくい話を丁寧に作ってくれるので、これからも楽しみにしています。
クレシダ
平幹二朗という俳優を生で観ることができるというのは、現代に生きる上でとても幸せなことだと私は思っています。
2年ぶりの平幹二朗さんでした。「蒼の乱」、その前が劇団四季の「鹿鳴館」。初見の鹿鳴館の影山伯爵で撃ち抜かれてしまい、未だにこの俳優さんよりお芝居が上手なお方を私は知りません。
あっちゃんと碓井くんという最近気になるお二人と平さんということ、サクッと最前が取れてしまったことで軽い気持ちで観に行ったのですが、なかなかどうしてめちゃくちゃ好きな作品でした。
あらすじ
1630年代頃のロンドン、グローブ座。
劇団は男性によってのみ構成され、女役は若い少年俳優が演じていた時代。
かつての名優シャンクは、晩年、ここの演技指導者になっていた。そこへ養成所から少年スティーヴンが入所を希望する。
彼の話し方は非常に幼く、シャンクは入所を断るのだが……。
『トロイラスとクレシダ』の上演を控え、ヒロインを演じることとなったスティーヴン。その裏に隠された思惑とは?
そしてシャンクによる猛レッスンが始まる……。
感想
名優シャンクがただの素敵な先生ではなかったのが、とても人間的に魅力的でした。お金にだらしなくて勝手に架空の生徒を名簿に入れて(グッドナイト・ゴートゥーベッドくんなど笑)賃金を着服するし、ハニーの高価なネックレスを奪い取るし、くされジジイ感がとてもリアル。平さんのこんなコミカルな演技を観たのが初めてで、重みのある演技をしながらこんなに笑わせてくれるのかと、不思議な気持ちでした。
そんな先生に悪態をつきながらも嫌いになれない生徒たちも自分の大学時代を思い出しながら、あるあるだなあと思っていました。
1幕はそんなグローブ座の仲間たちとのドタバタ劇なんですが、2幕から芸術について、継承について考えさせられるお芝居だったのがとても好みで。
まるで棒だったスティーヴンにシャンクが熱く指導するようになる場面はガラスの仮面さながらでした。
才能が開花し、民衆が舞台上に求めてるものが分かるスティーヴンと、伝統を重んじるシャンクの衝突する後半は今にも通じるテーマなので、ぐるぐると考えています。
ただ伝統の上に新しいものを作らないとそれは全くの別物になる、だからシャンクから受け継いだスティーヴンの作るものは新しいものとして受け入れられるようになったのだと、私は解釈しています。
全ての芸術はそういう風に出来ているのに、演劇だけそうではないなあと思っていたんですが、私が知らないだけで演劇にもあったんだなあというのが、改めての発見でした。
高橋洋さんのディッキーとシャンクが過去を振り返って語る場面が本当に素晴らしくて…
ディッキーが少年俳優だったことって前半はあまり感じられないんですが、後半のこの場面でビシビシ伝わってくるんですよねー。
高橋洋さんはフェードルの時もお上手だと思っていましたが、今回のディッキーの方が好きです。メガネ姿も美しいし、後半もとても好き。
美しさでいうなら橋本淳のハニーが群を抜いていました。絶対碓井くんが1番美人だと思っていたんですが、あっちゃんがダントツだったなあ…。
お顔というより立ち姿や姿勢があまりにも綺麗だったんですよね。ピンと伸びた背筋や足先まで美しい立ち姿、力の抜けたように見える指先もめちゃくちゃ綺麗で、もう女として完全敗北でした。
ハニーの気位の高さやジェンダーフリーな部分、スティーヴンというライバルに嫉妬しながらも気になって真似してしまう生真面目さや後半の少年俳優としての終わりを告げられた時の表情がすごく素敵でした。よりによってディッキーに終わりを告げられるハニー。彼らは未来の自分と過去の自分を重ね合わせていて、観ていて辛い場面でした。
やっぱり良い俳優ですよね、あっちゃん。個人的に世迷言のあっちゃんも好きだったので、金髪姿が好みなのかもしれません。この舞台の時代に生まれていたらハニーを追いかけていたんだろうなあ…。自分が少年俳優やカストラートにお金をつぎ込むご婦人方になっていたであろう想像は容易につきます。
橋本淳さんの良い意味で役の染まれる部分がすごく好きです。観るたびに印象が変わりますね…!
今回でさらに骨抜きにされたので、これからも観続けていきたい俳優さんです。
スティーヴン役の浅利さんがこのお話の中心なんですが、最初の田舎の素人から成長していく過程が凄まじく上手でした。棒読みなのに何か光るものを感じる演技ってどうやってやってるんでしょうか…。
今まで指導をサボっていたはずのシャンクがつい指導に熱がこもる理由が分かるんですよね。
スティーヴンの実直に芝居に取り組んでいる部分や、ハニーへの恋心がすごく可愛らしくて、孫を見るような気持ちで愛でていました。おばあちゃんになったらスティーヴンみたいな孫が欲しいです。かわいい。あと女役が大竹しのぶさんに似ているような…気がします笑
平幹二朗さんに戻りますが、1幕はあくまで軽妙なお芝居が多く、シャンクの憎めない人柄をご本人なのかなと思うくらいのリアリティで演じられているのですが、2幕からの求心力が凄まじいです。シャンクの本質は伝統を重んじる芸術家。平さんの語られる台詞ひとつひとつが観客に訴えかけるもので、私たちに芸術家としての生き様を魅せてくださってました。
平さんの凄いところは難解な台詞でも明瞭に、伝わるように演技されるところだと思います。
こんなぺーぺーの若僧が平さんの凄さを語ったところでたかが知れてしまうのでこの辺で控えますが、演技にバックグラウンドを感じられるお芝居をする俳優さんが私は大好きなんです。
今年で83歳というご年齢を感じさせない平さんの演技をシアタートラムという小さなシェルターのような空間で観れて、私は幸せものです。今後も出来る限り拝見できるよう頑張りたいです…!(金銭面を)
碓井くん藤木さんのグーフィーとトリジ、花王さんのジョンのグローブ座メンバーも賑やかで可愛くて、シャンクを慕っている空気感が凄く好きでした。
この舞台全体に漂うあたたかな雰囲気とメッセージ性の強さ。そしてシェイクスピアのエッセンス。シアタートラムという日常と乖離しやすい素敵な劇場で。
最高でした。
東京千秋楽おめでとうございました。
続きを読む宮本武蔵(完全版)
「殺陣が好き、時代物が好きって言ってるけど、刀を振るうことがどういうことか君ちゃんと分かってるの?」
と遠回しに問われまくった舞台でした。
薄ミュ(LIVEだけど)とつむ鴨の間に挟んで観てしまったので、余計にぐるぐると考えてしまいます。
あらすじ
伝説の剣豪として世に名を知らしめるも、その内面は臆病な男、宮本武蔵。
色々と疲れの溜まった武蔵は、湯治のため山奥の宿を訪れる。そこには様々な面々と出会うこととなる。
私たちが考える理想の武蔵像からかけ離れた主人公、宮本武蔵は皆から偽物ではないかと疑われる。
証明のしようもないが、本物と認められたら命を狙われる、しかし偽物と思われても面白くない。
疑心暗鬼の中で、武蔵に恨みをもつ者、討ち取って名を上げたい者、さまざまな思惑が重なって、物語は思いもよらない方向へ。
最後までヒーローらしさも小次郎との決闘もなく、そのだらしなさが笑いを誘う現代会話劇。
“本当の宮本武蔵は、こんなんだったのではないか!?”
感想
実際あらすじ詐欺も甚だしいくらいに、毒を含んだ舞台でした。嘘はついてないけど。
ござる三段活用に「え、あー、うん」の応酬で日常と地続きのお芝居が延々と続きます。
本当にあるあるな場面の連続で、違うところは皆「侍」だということ。「侍」が生きる時代の話だということでした。
ここで語られる宮本武蔵という人間は、コミュニケーション能力が低く、精神年齢が幼い1人の若者でした。「脱力系」とは個人的には思わなかったです。息を吸うように人を殺し、その原因を相手のせいにすることで精神状態を保っていた青年だと思っていました。
この舞台に出てくる宮本武蔵も佐々木小次郎も、あと千代も、人を殺したことのある人間たちはみんな相手のせいにしてるんですよね。
「殺そうとするから」「切りかかってきたから」だから『殺す』
そういう風にしないと人ってメンタル保てないんじゃないの?と言われていた気がします。
たしかに、今兵士のPTSDって有名な話ですし、防衛機制していかないと、当時も精神的に生き抜けなかったのかもしれないです。
ただ、私が今まで色んな作品で観てきた武士は相手の人生を背負って、覚悟を決めて生きていたから、その違いが受け止めにくい部分ではありました。
当たり前のように受け止めていたその志は本当に皆持っていたのか??と問われている気分でした。
考えさせられると同時に腹立たしい気持ちも抱えたのは、図星を指されたような感じがしたからかもしれません。
主演の山田くん、当て書きかと思うような宮本武蔵でした。イタズラなkissしか知らなかったので、本当に素晴らしい俳優さんなんだとびっくり。
イタkiss当時から雰囲気が矢崎さんと似ていると思っていたんですが、そこを特にフィーチャーされることはなくて残念。
現代の若者っぽさ、潜んでいる幼さとサイコパスな感じがものすごくリアル。だからすごく怖かったです。
ラストシーンは毎回山田くんの演技で観客の受け止め方が変わるので、今日はどっちだろうとハラハラしていました。
色んな意見があると思いますが、私は初見の時の印象が「伊織を斬ってない」だったので、そうだったらいいなあと思っています。
じゃないと長年一緒にいた伊織ってなんだったの、と。人が人に与えられる影響ってそんなにないものなの、と悲しくなってしまうので。
山田くんは本当に日毎に印象が変わるので「今日は斬った気がする」「今日は斬ってない」と感想を言い合ってました笑
矢崎さんの演じていた佐々木小次郎は、飄々として摑みどころがない感じ。久しぶりにこういう温度の低い役を見た気がします。前は結構やっていた気がするんですが、最近は熱い男が多かったので。
営業マンによくこういう人いるわって思いながら見ていました。読めないし、自分中心で物事を考えることになんの罪悪感もないタイプだから個人的には関わるのが結構苦手な人種なんですが(笑)こういう役柄も演じられる役者さんだったのを改めて思い出しました。
そして前作JBのボブをこの感じで演じなかったのはやっぱりあえてなんだろうなあ、と1人ニマニマしてました笑
なんかすごいサービスシーンが多くて、肌色多めだったので、毎回じっくり堪能してました。こんなによく脱ぐ俳優さんって他にいるんでしょうか??笑
ありがたいですけど!ありがたいですけど!!
私自身の傾向として小劇場のお芝居ってハマるかハマらないかにはっきり分かれるんですが、今回はどっちにも転ばなかったのである意味珍しかったです。結局巌流島どうしたの?っていうところはずっと引っかかってるんですが。そういうの考えるの野暮なんでしょうか?
殺陣モノが好きな私に一石を投じられた舞台でした。
しかしやっぱり侍は相手の人生を背負いながら生きて欲しい。夢物語なのかもしれないけど。結局つむ鴨で戦う男たちに涙しながら「矢崎広の殺陣が見たいなあ…」と相も変わらず願う私なのでした。
矢崎広と土方歳三〜ミュージカル薄桜鬼〜
自分が成仏したら、この記事を書こうと思っていました。
成仏というのは、矢崎さんが土方さんを辞めた際に仰っていた言葉で、つまるところ自分の気持ちを昇華させられたら、こういった文章を書こうと思っていました。
2016年8月17日、私はとうとう気持ちに整理をつけることができました。
それはさよならとお別れすることで、しかし本心では望んでいた終わりで、楽しかった祭とつらかった2年の終わりでもありました。
2014年の10月1日、ミュージカル薄桜鬼の次回作から松田凌の斎藤一と矢崎広の土方歳三を見れないことが決まりました。
本当に自分でも笑ってしまうんですが、泣いて泣いて泣きすぎて、豆腐しか食べられなくて(笑)
ずっと予感はしていたのに、いなくなる心づもりをしていなかった私が悪いんですが、発売されたばかりの風間篇を見返すこともつらく、矢崎さんに対しての憤りすら感じて、塞ぎ込んでしまっていました。
彼は働き者なので、その後すぐからジャンヌダルクでアランソン様を立派に演じており、それはそれは素晴らしい演技で傷心中の私を元気にさせてくれました。
矢崎さんによって凹み矢崎さんによって励まされていたわけです(笑)
私にとって矢崎さんの演じた役で1番好きな役で、彼の演技の凄さを感じた役が土方歳三でした。
あまりにもしっくり演じすぎていて、私の中では、「矢崎広」と「矢崎広が演じる土方歳三」がイコールにならないくらいでした。同じ人だと思えないんです。全然意味わからないかもしれませんが。
矢崎さんの魅力を知ったのはるひまや鍋ですが、ファンになる大きなきっかけとなったのは土方さんです。これはもう断言出来ます。
沖田篇で「これ誰?」となって、土方篇で目が離せなくなった。
怒涛の展開の中、矢崎土方の凛とした姿勢に心を打たれました。彼の全てを背負って突き進む姿勢や想いに、真っ直ぐな目に、これまで観てきた舞台のどの役よりも共鳴し、好きになりました。
矢崎さんの土方歳三は本当に武士として生きてきたかのように見えるんです。彼の背中には新選組や血や砂埃が見える。背負っているものが大きすぎて、潰れそうで、それでも前に突き進んでいる。「舞台で生きている」という表現を初めて実感を持って観れた役でした。
台詞の一言一言が自分の指針になっている部分もたくさんあって、私生活で本当に苦しい時期や迷っている時期、土方篇のCDやDVDを延々と聴いて自分を奮い立たせていました。
「私は私の信じる道を突き進んでいこう」自分の人生に対してそう思えるようになったのは、矢崎さんの土方さんのおかげです。
矢崎さんの土方さんを見れないということは、自分の人生の師の死に値するくらいつらいことでした。
せめて、最後だと知って観たかった。矢崎さんの口から土方歳三に対しての想いを聞きたかった。しかし、それは叶うことなくどんどんと月日は流れて行きました。
沖田篇を初めて観た時に「このミュージカルが散り終わるまで見届けよう」と決めていたので、そこからも薄ミュは見続けていました。毛利さんはこういう引きずったファンに対してのアフターケアをとても丁寧にやってくださる演出家だと思っています。
新しい流れについてこれない者は切り捨てられるような舞台も多い中、黎明録の山崎の言葉に救われたファンは決して私だけではないはずです。初期のメンバーが好きだと言いたい。でも薄ミュも見届けたい。そうやってフラフラと観ていたのに、「好きなままでも良い。伝えていけばいい。今を見てくれるならそれでいい。誠は繋がっている」と毛利さんから言われたように感じました。自分が好きだったのは薄ミュではなく、矢崎広の土方歳三のみだったのかもしれない。そう思うと観に行くのがすごくつらくて、演者にも申し訳なかったのに、とても楽になりました。好きなままでもいいんだ、と思えて。
人というのは不思議なもので、「これを受け入れろ!」と言われると全力拒否したくなるけど、「過去を好きなままでもいいから、これからも観てね」と言われると今のメンバーの良いところが見えるようになり、受け入れられるようになってくるんです。メンバーは全然違うけれど、彼らの中に初期から決して消えない熱いものは流れている。そのことに気付けるようになってきました。
今、全てをフラットにして薄ミュシリーズでどの作品が1番好きかと言われると、黎明録か風間篇だと思います。
矢崎さんがいなくなったあと、薄ミュに対しての熱は確かに少なくなりましたが、それでも楽しく観れるようになったのは、黎明録のおかげです。毛利さんのおかげです。私はこの作品自体を好きでいたかったので、本当にありがたかったです。
矢崎さんに対しての熱は冷めることなく続いていました。それは矢崎土方への気持ちは矢崎さんへの気持ちと全く違うところにあったからかもしれません。ベクトルが別というか。矢崎さんは「応援したい」という気持ちが強いんですが、土方さんには「支えられている」と思うんです。土方さんをやっていない間も矢崎さんの演技は大好きで、矢崎さんのことも大好きでした。
ただ、もう副長が見れないことは心残りとして、古傷としてたまに心の中で疼いていました。
そんな中、薄ミュLIVEが発表されました。2回目の薄ミュLIVE。「東くんの左之がとても人気なのに、ここにきて左之篇ではなくLIVE…?」とは思いましたが、とりあえず行くことは決めていました。
そして、ゲスト発表で矢崎広の名前を見つけ、もう絶対この日は行こうと決意を固めました。
2年間幽霊のように矢崎土方に取り憑かれていた私が、さよならをできる日はここしかないと思ったのです。
チケットを無事に手に入れた私に公演前日に「トークゲストとしての登壇」と発表がありました。
「トークゲスト…?演じないってこと…?」という絶望の中、日は着々と迫っていて、他の日のゲストのトークレポを読むたび、ハードルを下げ続ける日々でした。
「演じなくてもいい。歌わなくても、殺陣がなくても。薄ミュについて、土方さんについて話してくれる矢崎さんが観れるならそれでいい」
と、心に決めて、それでも楽しみすぎた当日。
フォロワーさんから、5列目センターとかいうとんでもない席をお譲りいただき、LIVE自体をとても楽しく観ていました。黎明録メドレーで泣いていたところで、トークゲストの登壇に。登場した瞬間「ヤイサー!!」と叫ぶ矢崎さん、いえ、土方さん!!!!!!!
目の前にいたのは紛れもなく土方さんでした。この2年、土方さんっぽい声を出していた役もあったのですが、全然違いました。2年ぶりに聴いた土方さんの声でした。矢崎さんの可愛らしい話し方から突然現れる土方さん。
ダイジェストを懐かしそうに見ながら、毛利さんから「それじゃあ、一曲お願いします」と言われてすんなり歌う矢崎さん。
「いいか、逃げるなよ」から始まる歌。
え、は、冷厳な瞳!?セリフ付き!?!?
私の脳内は大パニックでした。今目の前で行われている光景が夢を見ているのかと思いました。とりあえず引きつけを起こすくらい泣いていました。5列目で。
矢崎さんの目線がぼんやり自分の辺りを見ている(ような気がする)中、大号泣です。途中で刃を向けるように手を出していて、その目線はまさに土方歳三でした。厳しさと優しさを兼ね備えた土方歳三の目でした。
そのまま毛利さんから、「台詞ききたいなあ」ってリクエストがあり、
「自分の心の中に思うところがあって、譲れないものがあるなら真っ直ぐに前を見ていろ。なすべきことから目をそらすな。」
「斬られてえ奴は前に出てこい」
を言っていただきました…!
そこから、薄ミュが懐かしいという話になり、C&Rをしていたら松田副長の登場!!!
副長が2人!!!!!なんか死ぬほど叫んだのを覚えています。
近藤さんからどっちが本当のトシ?みたいな流れになってビーチバレー対決。
「決して後退はしねえ」と言う矢崎副長。
今を生きる松田副長に花を持たせるかと思いきや、めっちゃしっかりバレーをして完全勝利をきめる矢崎副長。
お盆になって還ってきた矢崎土方は思っていたよりとんでもなく元気でした。
ソワレはこれに加えてビーチバレーの台詞が
「必ず勝ってみせる。信じて待ってろ」
でしたし、もうなんかノリノリで元気すぎて2年間矢崎さんの中で元気に生きていたことがありありと分かりました。
ソワレで「まあまあだな」と松田副長を認め、拳を突き合わせて誠を引き継いだところで、「ああ、もう満たされました」と完全敗北でした。
私は結局毛利さんの演出に逆らえないし、矢崎さんの演技に惹かれるしかない。
さよならできました。
矢崎さんの中で土方さんは元気に生きていること、矢崎さんが土方歳三を未だ大好きなこと、たまに矢崎さんの中に土方さんが垣間見えること、本当は気づいていたのに見ないフリをしていました。
今の薄ミュのメンバーがしっかり初代からのバトンを受け取っていること、そして私自身が今のメンバーもとても好きになっていること、このことにも気づいていたのに見えないフリをしていました。
本当は分かっていたし気づいていたのに、昇華できなかった思いが邪魔をして、見えなくなっていました。
これでもかというほどに見せてくれて、会わせてくれて、確かに姿形は矢崎さんなんですが、そこに紛れもなく土方さんがいて。
こんなに長い時間勝手に待っていたのに、その期待に矢崎さんが120%で応えてくれました。
感謝しかないです。彼の薄ミュへの想いは本当に熱くて、私なんかより全然強かったです。
お別れをさせてくれてありがとうございました。
もう二度と会えないかもしれないけど、私未練はないです。
また観れるならとても嬉しいし、絶対に行きますが、もう執着はしなくても生きていけそうです。
それでも、私の中で大切なひとで、矢崎さんの役で1番好きです。別次元で別の存在として好きです。
一生とは言えないけど、また矢崎さんの役でこれ以上好きな役に出逢えるかもしれないけど、今のところずっと好きだと思います。
矢崎さんは自分たちのことをよく「紛い物」として新選組になぞらえてお話されたりします。でも、薄ミュから薄桜鬼に入ってゲームやアニメをプレイした私にとって、誠なのは矢崎さんの土方歳三です。初期の薄ミュキャスト達です。千鶴が新選組を誠の武士と思ったように、私にとって誠の土方歳三は矢崎広でした。
本当に本当にありがとうございました。
私はこれからも薄ミュを見続けるだろうし、見続ける限り、これからも悲しいこともあると思います。もうその片鱗も見えていますし。それでも、これからも見続けたいと思います。
松田のがっくんには重くて重くて重過ぎるバトンを受け取ってもらっていますが、彼なら伝説の向こう側へ行けるポテンシャルがあると思っています。
黎明録を経た土方歳三を突き進んで貪欲に上を目指して演じてほしいです。
矢崎さんを追いかける限り、彼の中に生きる土方さんをちょっとだけ垣間見れます。それは彼の精神性とリンクするところがあるからかなあ、と思っています。今のところ、このことを大事にありがたく、生きていこうと思います。
日本版ジャージー・ボーイズ初演
私は歴史的な初演に立ち会ったのかもしれないと思えた公演でした。
2月のPV撮影、いや10月のキャスト全発表からずっとそわそわしていた公演。私の中で2016年の目玉とも言える公演でした。アッキーの発表の時には、藤岡さんは選ばれそうだから1回くらいは行きたいな〜♪と軽く考えていましたが、結局RED5回White1回行きました。
だって矢崎広が選ばれてしまったんだもの。今年の夏も中屋敷さんと濃厚にお芝居すると思っていたところにまさかのミュージカル。そしてミュージカルの申し子海宝直人とのWキャスト。
発表された瞬間1日中お腹痛くて、仕事中ぼーっとしていたのを覚えています。
私は盲目ファンなので、「矢崎さん最高!天才!大好き」botなんですけど、それでもミュージカルファンの耳の肥えた皆様に海宝せんぱいと比較されるのは本当に胃痛が止まらなかったです。
…とりあえずその話は置いといてJBの話に戻します。
2月にPV撮影。見事に多動性を発揮しずっとジャンプをしている気持ち悪い自分と素晴らしきエキストラの皆様と赤フォーシーズンズたちの楽しいVTRが公開されてから、あっという間に7月がきました。
毎月ジャージーニュースとか、インタビューとかWOWOWさんとかあって、本当にあっという間でした。
予習をしようか迷っていて、結局何も観ないで行きました。
矢崎さんもたいがいあれですが、私も「初めて観るボブは矢崎さんがいい…!」と考えちゃうタイプなので(笑)
まあ、結局観ても全然大丈夫なくらいベクトルの違うボブだったんですが!
赤と白、明らかに赤の方が見てるので、どうしても情が入ってるのは赤なんですが、どっちもとても良かったです。好みで分かれそうな感じです。
ドロドロのストプレが好きな方は赤、爽やかにミュージカルが好きな方は白が好きなんじゃないかと、勝手に思っています笑
同じ台詞、同じ曲、3人以外キャストも同じなのにこうも違うお芝居になるのかと、改めて芝居の面白さに気付けた舞台でした。
フランキーは同じ中川さんなのに、そのフランキーさえも赤と白で変わって見える。人は誰かとの出会いで形成されるって本当だなあ、と。誰かが変わるだけでキャラクターを変えられる中川さんの柔軟性にも驚きでした。
ただ、どちらでもカテコが死ぬほど楽しかった。まるでフォーシーズンズのファンになったような感覚で、嬉しくて泣きながら楽しく踊れる舞台なんて滅多にあるもんじゃありません。再演決まったので、お祭舞台好きな方は是非に行ってください。こんな楽しい舞台がこれからも続いていくことがとても嬉しいです。
【あらすじ】
ニュージャージー州の貧しい片田舎で、彼らは出逢った。
「天使の歌声」と称されるフランキー(中川晃教)は、兄貴分のように慕う
トミー(藤岡正明/中河内雅貴)とニック(福井晶一/吉原光夫)の
グループのボーカルに迎え入れられる。
作曲の才能があるボブ(海宝直人/矢崎 広)の加入をきっかけに、
彼らはザ・フォー・シーズンズとしての活動をスタートする。
金もコネもない彼らを待ち受けていたのは、過酷な下積み生活。
そして、「シェリー(Sherry)」のヒットを皮切りに、「恋のヤセがまん(Big Girls Don't Cry)」、
「恋のハリキリ・ボーイ(Walk Like a Man)」など全米ナンバー1の曲を次々に生みだしていく。
だが、その裏では莫大な借金や家族との不仲、グループ内での確執、
様々な問題がザ・フォー・シーズンズを引き裂いて・・・。
成功の光、挫折の影、その先に彼らが見たものとは――。
【White】
1度しか観ていない白ですが、中河内トミーが引っ掻き回したフォーシーズンズでした。とっても良いスパイスだったなあ。トミーめっちゃ良い子なんですよ。頭弱いだけなんですよ。「ボビーむかつくよね、うんうん」って観てました。
優しさの塊でお父さんみたいだった福井ニック。若い2人のために身を引いたように思えたけど、実は劣等感が…!っていう驚きがありました。
そしてパーフェクトボーイ海宝ボブ。正直私のイメージしていたボブはこっちです(笑)
cry for meでの説得力が凄すぎました。これは才能あるわ、ってお客さんまで全員が納得するボビー。フランキーのこと以外は全員どうでも良くて、クールだけどちょっと愛嬌もある。最後の「僕がいなければ」を小声で言うところも可愛かったー!
白はハーモニーもとっても素晴らしくて、常にフランキーが1番聞こえていた気がします。そしてフランキーがフォーシーズンズのメンバー一人一人を大好きだったのがとても良く伝わりました。フランキーのフォーシーズンズ内でのポジションの移り変わりや、心情の変化が分かりやすい白。大千秋楽で観てしまったので、もっと早くに観ておけば良かったなー、とちょっと後悔しました。
【RED】
そして、マグマのようにドロドロで熱かった赤。
長くなります。ご了承ください。
まず、中河内トミーより圧倒的に悪いやつだった藤岡トミー。藤岡さんのトミーはまるで劣等感の塊で、でも優しさの塊でもありました。フランキーを見つけた時の表情が言葉に出来ないほど素敵で!「こいつを育てたい!」という純粋な気持ちと、「こいつには勝てない」という劣等感を常にフランキーに抱いていた気がします。ボブのことも認めていて、本当はその凄さを理解しているけれど、常にフランキーから認められているため、つい上からものを言っちゃう感じがしました。
トミーの中には常に「フランキーの上にいたい、中心にいたい」という気持ちがあり、それがどうにも上手くいかず空回りしていた感じがありました。
そのトミーの弱さが本当に好きで、悲しかったです。
吉原ニックは、超セクシーでした!!
気遣いできて、色気があって。
stayの時の泣きそうな顔が印象的です。
フランキーを育て、ボブの親友で、トミーの世話をし続けて。自分のことは後回しでいつも誰かのことを見守るニックが限界を迎えることに、すごく納得がいきました。劣等感もずっと見えていて、最後の告白も「知ってたよ」と言いたくなる感じ。
私が誰よりも共感していたのは吉原ニックでした。
観客への寄り添い方が上手な方だと思います。
そして、矢崎ボブ。思い描いていたボブとはちょっと(かなり?)違い、愛嬌がある面白いボブ。フランキーのことが大好きで仕方なくて、フランキーがいたおかげで成功した一発屋の天才。彼の才能は歌ではなくて、自分とフランキーを信じること。それに尽きた気がします。そしてそれがトミーとニックを傷つけている。
トミーのこともニックのことも好きで、だけどフランキーを押し上げることに夢中だったから気付けなかった。2人がいなくなった後フランキーのいないところで少しその気持ちが見えるのが好きでした。私の深読みかもしれませんが(笑)
「君の瞳に〜」のリリースも、ヒットするためというよりフランキーのための方が強かった気がします。フランキーがホーン入れたがっていたから、それが映える曲でヒットさせたかった。そういう人間くさいボブが好きでした。
December'63は「イヨッさすがプロDT!」と声かけたくなる仕上がり(笑)お兄さん達がイジメてくれて良かったねえ。私は矢崎さんめっちゃエロいと思ってるので、そろそろDTぽくない役柄も見たいです。わがままです。
私は大好きなボブで、さすが矢崎さん演技力やばいとか思っていましたが(盲目なので^_^;)、あまりにイメージから逸脱しているので他のお客様にはどう映るんだろうと思っていたら、意外と受け入れられていて嬉しかったです。
海宝センパイが正統派だったので、あえて変えてきたのか、レッドチームが本人に近いところで演じていたので合わせたのか分かりませんが、本当にゼロから作り上げた感じがして面白いと感じました。
歌声もかなり成長していて、本人の言う「ヒリヒリするようなスリリングな道」をこれからも突き進んでいただければと思います。
全体的にハーモニーというより圧がすごかった赤チーム。藤岡さん吉原さんの声の厚みによってもう感動レベルが鳥肌もので。最初はすごすぎてわけわかんなかったんですが、段々このハーモニーで鳥肌立つのが好きになりました。
赤の一人一人の弱さや狡さが透けて見えるのがとても好きで。人間ドラマが濃く描かれていて、それぞれの心情を読み取ろうと必死でした。赤のメンバーはフランキーのことが大好きで、彼らの心の中心には常にフランキーがいました。赤のフランキーは特にニックに、思い入れが強かったように見えました。
もう話すまでもないですが、フランキーの中川あっきーがとにかく凄くて!シルエットの第一声でみんなトミーの気持ちになれる。本当に素晴らしい声でした。そして少年から大人までを自然な流れで演じる演技力。赤と白で自分の役を変えられる柔軟性。何より最後まで全く不安にならない歌唱力。バケモノかなって思いました。
中川さんの中川さんによる中川さんのための舞台。
だけど、彼はあくまで全員の舞台にしようとしていて、それがすごくフランキーと似ているような気がします。凄いもの観たなあ、と思います。再演は誰が決まってなくても中川さんだけは決まっているでしょう。そう感じるくらい圧倒的に彼の舞台でした。
他にももっくんクルーが素晴らしかったとか、新太くんにハマりそうとか、まりゑ姐さんフランシーヌ好きとか色々言いたいことはありますが、纏まらないのでこの辺で。カンパニー全体が愛しくなってしまいました。
ちょっと前まで某アイドルグループを追っかけていた身としては、この物語はファンタジーでした。
ファンというのはただ彼等の人生を見守ることしかできない。彼等の人生の選択が自分にとって喜ばしいことではなくなるたび、無力さを痛感してしまいます。でも力を合わせればステージ上に再び引っ張り出すことができるかもしれない。
無力な私にもおじいちゃんまで見守っていれば奇跡が起きるのかもしれない。
今日の国民的グループの一大事を見ながら、ジャージーボーイズのRag dollがぐるぐると頭の中を巡っていました。