sognamo insieme

君を夏の日に例えようか

魔王コント

先日勢いで誰に通じるのかわからないなんちゃって論文を書きましたが、今回はちゃんとした感想です。

魔王コントからいつの間にか2ヶ月が過ぎようとしています。

面白くて楽しくて久しぶりに明るい気持ちで劇場を後にできる矢崎さん出演作品に出会いました。色々考えたけど、引きずらなくていいのは個人的にはとてもありがたかった。家城啓之さんの舞台は初めましてだったのですが、矢崎さんとめちゃくちゃ相性良い感じがしました。

マンボウやしろさんといえば、私にとってはスカロケの本部長。ブラック企業勤めの時社内でTOKYO FMから流れてくる本部長の励ましの言葉に何度も涙ぐんだ思い出があります。やしろさんは一人一人の相談に対して誠実に言葉を紡いでくれる方で、まるで自分に対して言ってくれてるみたいなんですよね。今はラジオが流れない職場なので縁遠くなってしまってますが、たまに聞くと、やっぱりやしろさんの言葉の力は偉大だなと思います。

そんなやしろさんが料理した矢崎広なんですが、矢崎さんの引き出しという引き出しから、たくさんの面を見せていただいていて、お得感満載というかなんというか例えるなら ベストアルバムでした!!

今年まだ矢崎さんにはたくさんの役が残されているけど、サルトより好きな役はあるかもしれないけど、サルトほどお得な役はないと思う。それほど矢崎広詰合せでございました。

かっこいい部分もかわいい部分も苦しんでる表情も色っぽい表情も笑いを取る部分もすべる部分もちゃらい部分も誠実な部分も全て!!!全てが濃縮還元されたような舞台でした。

メガホンで民衆の歌を熱唱したりすっごい長々とキスしたり際どいポーズしたり、かと思えば飛び蹴りしたりめちゃくちゃに罵倒したり可愛い子ぶったり…。最後は勝どきをあげててあまりのかっこよさに悶絶するという…どうして話の筋が通ってるんだ…。矢崎広は舞台中に成長するのが上手いっていう話は散々してると思いますが、その実力がいかんなく発揮された舞台でした。

お友達と「これはファンイベ」「これはベストアルバム」とか言い合ってました。それくらいすごい。

思ったよりものすごく親和性が高かったです。

毎日演出が変わっていって、場面が増えたり減ったりして通うのが楽しかった。もっと行けば良かったです。悔やむ…。

ノンスタ石田さんを始めとする芸人チームと矢崎さんやこばかつ、啓さん達の俳優チームの笑いに対するアプローチが全然違って、勝手にとてもエキサイトしてました。石田さんもおっしゃってたんですが、芸人さんはたくさんの言葉を重ねて笑いを取るのに対し、俳優さんはあくまで言葉はそのままで、間を使って笑いを取ることが多いように感じました。

明確にどちらが、というわけでもなくとにかく面白い人が多かったので、笑いっぱなしの2時間でした。ただ、観客が笑っていることが本当はすごく残酷だったりする、それがものすごく恐ろしくもありました。

一度、ラストにランディ魔王が自殺する場面で大爆笑が起きた時、背筋が凍るような気持ちになりました。この2時間で笑ってきたことの中身のエグさをそこで実感してしまったのだと思います。サルトをホモだと笑い、ガーナやみゆき姫をブスだと笑い、ランディの自殺を笑うんです。笑わせるようにできてる。笑うのが悪いって言いたいわけでもなくて、事実私は初見で笑ってしまったし。泣きもしましたけど。

正義と悪、笑いと悲しみって紙一重なんだなあとこのお話を繰り返し観るうちに気づかされました。

世界平和という大きな規模でなくても、誰かを悪者にするのってすごく簡単に仲が深まるものだと学生時代から思っていて。私自身はなるべくそういうものに頼らず人と仲良くやっていきたいし、だけどどうやったらなれるんだろうと模索してもいます。サルトのように間違ってる!と言う勇気もない小さな人間だから、必要悪に頼らないという小さな抵抗で小さな世界を平和にできるようにこれからももがきながら頑張ろうと思います。

こんな感じで色々考えることができて、メッセージ性が強く明確でしたし、楽しかったです。

あと、唐橋充さんにも匹敵するイケオジ枠だと勝手に思ってる加藤啓さんが、本当にただただかっこいいキス魔になっていて惚れそうでした。そして言葉がものすごく深かった。

「TRUE LOVEとは愛の使い方と覚悟の深さだよ」

この言葉を、ずっと心に留めておきたいと思っています。